陸奥「散開して!固まっていると狙われるわ!距離を取って戦えば―――!」
(陸奥はサーヴァントの能力を見誤っていた。決して慢心したわけでも侮っていたわけでもない。ただ、ジャック・ザ・リッパーはともかく巨人と騎士、武人は足は速くないと考えただけだった)
「■■■■■■■■■■■■ーーー!」
ブゥン!
グシャァ!
青葉「―――え?」
(一瞬の間の出来事だった。伊勢、陸奥、衣笠は桁違いの速度で接近した巨人に対応することができずに接近を許してしまい、一瞬のうちに上半身が無くなり辺りに『艦娘だったモノ』が散らばっていた)
雪風「伊勢さん!陸奥さん!」
「どら小娘、お主の相手はこの儂だ」
雪風「なっ、が、ぁ……」
阿賀野「雪風を離しなさい!」
(阿賀野は今にも雪風の首をへし折ろうとしている武人に対して砲撃を行おうとしたが、)
阿賀野「何で、なんで砲が動かないの…か、体の自由がきかない!」
(そう、阿賀野の体の上に一人の騎士が乗っていて、その騎士の宝具『騎士は徒手にて死せず』が発動していた。この宝具は『騎士が武器として認識できるものはすべて自分の宝具になる』という効果を持つ。つまり、阿賀野は武器と機関を宝具に変えられ、自分の体でありながらもう自分で自由に体を動かすことはできなくなっていた)
(そして体の自由を奪われた阿賀野が砲を向けたのは―――重傷を負い、動けなくなった大切な妹達だった)
阿賀野「な、そっちは能代が、矢矧が、酒匂が、大切な妹がいるの、ダメ、やめて、やめて――――――――――!」
(その悲鳴を合図に、宝具と化した砲弾が嵐のように降り注ぎ、妹たちの体を打ち砕いた)
阿賀野「イヤァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
(青葉は何か悪い夢を見ているようだった。数多の深海棲艦を打倒した屈強な艦娘をただの一薙ぎで数人まとめて粉砕する巨人や、徒手空拳のはずなのに堅牢な戦艦の装甲をぶち抜く武人など、青葉は目の前の現実が信じられなかった)
(そしてこれは戦いなどではなく、ただの一方的な虐殺だと理解するのにそう時間はかからなかった)
青葉(なんてこと…私が…私が失敗しなければこんなことには…!)
ねえ、おねえちゃん よそみをするよゆうがあるの?
青葉「しまっ――」
ザシュッ、ブシュゥッ!
(青葉は一瞬で喉、心臓、肺を切り裂かれ地面に倒れた。薄れゆく意識の中、最期に見たものは―――)
(文字通り盾になってでも提督を逃がそうと絶望的な戦いを続ける大切な仲間達と、まるでそれをあざ笑うかのように、文字通り艦娘を木端の如く粉砕する『英雄』の姿だった)―――DEAD END
_vs_assassinblack_dead_0