「Ураааааа!!」(霧島を救ったのは、駆逐艦たちの放った10cm弾だった。着弾の衝撃で逸らされたレ級の砲弾は空を切り、数秒遅れて着弾点と霧島の落下点に水柱が立った)
霧島「けほっ…お、遅いのよ…」利根「すまんの!あとは吾輩たちに任せるのじゃ!」(巡洋艦で唯一健在の利根がレ級との砲撃戦に入る)
レ級(追ってきたか…そういえば、“アイツ”は?――――ハッ!?)ドムッ!(艦首波をほとんど立てず、更に視線に対して真っ直ぐに向ってきたため、接近に気づくのが遅れた。手を伸ばせば届くほどの至近距離から放たれた不知火の10cm弾がレ級の胸板を捉える)
不知火(浅かったか…)
(接近の勢いのまますれ違いつつ、不知火は着弾の感触を確認する)
不知火(やはり、中口径以下の砲撃ではまともな損害を与えられないようですね。であれば、喫水線下へ雷撃を確実に命中させるより他に、奴を沈める手はありません)
(攻撃の方針を固め、再度接近を試みようと方向転換した不知火は、信じられないものを目にした)
不知火「なっ――!?追いついてきた!?」
(不知火の目の前にあったのは、拳を振り上げるレ級の姿だった。接近していれば僚艦が迂闊に手を出せないと睨み、不知火に肉弾戦を挑んできた…そう理解すると同時に、不知火は敵の速力を見誤った己の慢心を呪った)
レ級「そらっ!」バキィッ!(防御のために構えた右手のナイフは容易く粉砕され、不知火は大きく体勢を崩した。そこへレ級は体を一回転させて丸太のような尻尾で追い打ちをかける!)
ドゴォッ!(尻尾が不知火を捉える直前、レ級の顔面を爆撃が襲った。飛び去っていくのは爆装に換装された天山一二型である)
赤城「友永隊…御免なさい、もう少し踏ん張って!」飛鷹「着艦は私が引き受ける!赤城は攻撃に集中して!」(軽空母随一の搭載数を誇る飛鷹に援護され、赤城はなおも爆撃を加えようとする。が……)
レ級「このっ、舐めるなっ!」バララララッ!(レ級は機銃を乱射して天山を追い払うと、生き残った爆戦数機を発艦させた。天山が再接近できずに立ち往生したと見るや、レ級は再度不知火に狙いを定め、猛然と突進する!)
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