ズンッ!!不知火「ぐうぅっ!!」
(レ級の体当たりに、避けられないと判断した不知火は自ら後方に跳ぶことで衝撃を受け流そうとした。それでもなお突進の威力はすさまじく、不知火は数十メートルも後方でなんとか着水した)
不知火「ちっ!」
レ級「まだまだ、これからだよ?」(顔を上げた不知火が目にしたのは、追い撃ちに放たれたレ級の16inch弾である。うち1発の軌道は、未だ体勢の整わない不知火を確実に捉えていた)
不知火(ここまでかっ…)
ドッッ!!(衝撃は不知火には届かなかった。駆け寄った日向がその身を挺して不知火をかばったからだ。口の端から血を流しながら、半ばほどで折れた刀を鞘に納めつつ日向は笑った)
日向「ふっ…死に体の航空戦艦でも盾にはなる」不知火「日向さん……はっ!?」
(レ級の追撃は終わりではなかった。2機の爆撃機が烈風との攻防戦を抜け出し、反跳爆撃の体勢で不知火と日向に迫る!)
摩耶「ぶっ殺されてぇかあ!」(機銃弾が爆撃機を粉砕する。放ったのは摩耶と、早霜である。早霜は不知火の傍らに立ち、静かに微笑んだ)
早霜「大丈夫、ちゃんと…見ています」鬼怒「背中は鬼怒たちがちゃんと守るよ。だから、気にせず突っ込んじゃえ!」不知火「鬼怒さん、みんな……ええ!」
(見ると、利根と赤城の連携攻撃によって、レ級の動きは徐々に鈍っているようであった)
不知火(先ほどのやり取りからするに、敵は電探射撃があまり得意ではない様子……ならば!)
不知火「両舷前進、最大戦速!」
(主機をフル回転させ、全速力でレ級に接近する!)
レ級「バカだねぇ…そっちから飛び込んでくるとは――――!?」カァァッ!!(主砲で不知火に狙いを定めたレ級の目に、太陽とは別の眩い光が飛び込んできた。鬼怒の携えた探照灯――逆光で完全に距離感を失い、闇雲に放たれた砲弾は明後日の方向に飛んでいく。既に距離は数メートル、雷撃を放つには絶好の距離。不知火が一瞥すると、利根も砲撃の手を止め、雷撃の体勢に入っていた)
不知火「なかなか骨のある相手でしたが、これでお別れです……利根さん!」
シャッ『61cm五連装(酸素)魚雷』利根「応!」 シャッ『61cm五連装(酸素)魚雷』不知火「――沈めッ!!」
シュカッ!(圧搾空気の快音とともに、計10射の酸素魚雷がレ級に襲い掛かった!)
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