不知火「ぐ……かっ……っ!」
Верный「こいつっ!」ジャキッ!利根「不知火を放すのじゃっ!」ジャキッ! レ級「ふぅん…ボクの代わりにトドメを刺してくれるのかい?」利根「くっ……」(二人は歯噛みしながら主砲を下ろす。さらに…)
レ級「赤城…キミもだ。ボクの愉しみに水を差さないでくれるかな?」赤城「くっ……」(レ級の声に苛立ちが混じる。赤城はレ級の背後で構えていた弓矢を放り、艦載機をすべて着艦させた)
レ級「んっん~、実に仲間思いだ。涙が出そうだよ、ねェ…不知火ちゃん?」不知火「……」
レ級「んン~?もう声も出ないかァ?くっくっく…グヒヒヒヒ……ぐひゃっひゃっひゃっひゃっはははぁ~~~!!」不知火(何とでも言うがいいわ、化物…お前の実力が上だったということ。ふ…まさか戦艦が“空を飛ぶ”とは思いませんでした。『思考の外に出ろ』…ですか。完全に、上を行かれてしまいましたね…)
レ級「それじゃ改めて…お別れだ。キミは駆逐艦だけど、中々に楽しませてくれた。せめてもの礼儀だ、一撃で楽にしてあげるよ」(そう言って、不知火の腹部に押し当てた主砲に力を込める。最期を覚悟した不知火の脳裏によぎるのは、敬愛する司令官と、姉妹たちの姿だった)
不知火(陽炎…今度は不知火が先に逝きます…ごめんなさい…)
不知火(黒潮…もっと、貴女と一緒に戦いたかった…)
不知火(初風、雪風、天津風、時津風、浦風、磯風、浜風、谷風、舞風、秋雲…こんな、不甲斐ない姉で、ごめんなさい…)
不知火(司令…貴方の海を…守れなかった…申し訳…ありません…)
不知火(幸運を…)
不知火(……幸運……)
不知火(こんなとき…雪風なら…何というかしら…)
不知火(あの子は、どんな時でも前向きだった…)
絶対、大丈夫!
不知火(どんな危機でも、道は必ず開けると信じていた…)
不沈艦の名は、伊達じゃないのです!
不知火(…………)
雪風は――――
不知火「し……不知火は……」
レ級「ん?」不知火「……不知火は――――」
「沈みませんッ!!」
ドウッ!!(巨大な水柱がレ級の足元から立ち、二人を包み込んだ…)
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