――――ィィィン……(迫り、そしてそのまますれ違った。レ級の砲弾は、命中こそしなかったが、不知火から攻撃の機会を奪うことに成功していた。そう判断したレ級は、遠ざかっていく不知火の背中に照準を合わせる)
レ級「惜しかったねえ…だが、もうおしまいだ。バイバイ♪」ガンッ!レ級「――!?」ドドドゴォッ!(初めに響いたのは砲弾が飛び出す轟音とは似ても似つかぬ鈍い音。一瞬遅れて、連鎖する爆発音とともに、龍の顎の形をした艤装から爆炎が立上った)
霧島「あ、あれは…!」不知火「……」
(不知火が“夢”から再現した武装は黒のナイフだけではなかった。同じく黒い刀身を持った、メスのような細身の刃物…これをすれ違いざまに砲口へと滑り込ませていたのであった。そして、レ級にとって不運だったのは、主砲が艤装の“顔”に集中した設計であったこと…1基の主砲塔が起こした爆発は、他の全ての砲塔を巻き込み、無力化していた)
摩耶「やったな!」日向「不知火っ!」バッ! (日向は、己の刀を不知火に向かって投げた。半ばで折れてはいるが、ナイフを喪った不知火にとっては接近戦において有用な武器となるだろう)
レ級「させるかよっ!!」バララララッ!(レ級は刀を粉砕すべく残った機銃を連射する。が、それは1機の瑞雲が翼を鞘に当て、軌道を変えることによって防がれた)
利根「おっと!間一髪じゃな!」不知火「感謝します」パシッ!
(かくして刀は不知火の手に渡った。不知火は抜き払った鞘を投げ返しながら左手に折れた刀を構える)
不知火「オラオラァ!」
(右眼でレ級を睨み付けながら、不知火は猛然と突進していった)
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