実のところ…身一つで敵の本拠地に向かうに当たってレ級は制空権に関してはほぼ考慮しなかった…そんなことは彼女の同胞の空母の役割だからだ

レ級「流石流石…統制の取れた編隊…鮮やかな対空攻撃…素直に拍手を贈ってあげるよ♪」

烈風に守られた彗星からの攻撃を受け装甲を削られながら歌うように嘯く

レ級「彗星…つまり艦上爆撃機は敵の直上を取っての急降下爆撃が基本…んなことは赤子でも解る合理だ」

眼前を埋めるように飛ぶ艦載機に対空砲火を浴びせながら唄うように囁く

レ級「その合理…ボクが突くには最適だよねぇ?」

レ級は思いっきり邪悪に微笑むと自らのこめかみに指を当て己の艦載機分身たちに指示を飛ばす

レ級「全機急降下!海面到達前に機首を立て直し増速せよ!」

残存していた異形の艦載機たちは己が主人の指揮を承け三式弾の爆煙を目眩ましに急降下し機動を変える!艦爆にはあり得ない海面スレスレでの飛行へと!

レ級「ぎゃはは!まずは目障りな空母からかな…艦爆隊順次投下!目標敵空母!」

艦爆隊は指示通り敵空母の至近で爆弾を投下しそのまま空母の上をすり抜け…投下された爆弾はそのまま物理法則に従いさながら水切り石の如く海面を跳ね空母群に迫る!

その戦法の名は《スキップボミング》またの名を《反跳爆撃》かつての大戦で不知火たちの同胞を数多沈めた恐るべき戦法である…そう、制空権を元より取るつもりが無かったならばこう言った戦略も成り立つのである

レ級「このボクに対して教科書通りの戦法だなんて…裏を掻いてくださいって言ってるようなもんだよ♪ぎゃははははは!」

遠方で着弾を確認したレ級の哄笑が戦場に響き渡った


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(降下し反跳爆撃を仕掛ける艦爆たちに対して、護衛艦隊が無力であった訳ではない。むしろ高度を下げたために対空砲火の命中率は上がり、すり抜けることのできた艦爆は二十余機にとどまった)

摩耶「クソがっ、抜けられたか!」

利根「不味いぞ!あの軌道、反跳爆撃じゃ!」

早霜「慌てないで!」

(焦燥感を顕わにする2人に制止の声を上げたのは早霜だった)

早霜「彼女たちは大丈夫…私たちが“艦娘”であることの意味を…彼等は、思い知ることになる……そうでしょう、不知火さん?」

不知火「え、ええ…」

不知火(そう、先ほど感じた“嫌な予感”はこれではない…まだ、何か引っかかって…)


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