不知火「来ます!右舷、反航戦です。砲雷撃戦用意!」
(レ級の急加速によって両軍の距離は急激に縮まり、先頭の不知火はついに水平線の下から出現する敵を視認した。あの時と同じ牙をむいた獰猛な笑みもまた、その目に捉える)
鬼怒「了解!撃ち方、はじめー!」摩耶「応!いくぜっ!」(霧島と日向が2射目を発射する前に、前衛の随伴護衛艦隊がレ級を射程に捉えた。大破した摩耶も主砲1基のみを用いて戦列に加わる)
利根「この時のために、カタパルトは整備したのじゃ!六三四空、観測結果を報告せよ!」(遠弾となった46cm砲の弾着観測結果から、護衛艦隊は“1射目の”射角を修正する。六三四航空隊が操る瑞雲の練度と、利根の索敵能力、そして艦娘ならではの阿吽の呼吸は“複数艦が連携しての弾着観測射撃”を可能としていた。その結果、彼女たちは“1射目から”敵艦を散布界に捉える――――!)
不知火「
撃ーーっ!」
ドドドドッ!!早霜「狭叉……悪くないわね…」鬼怒「次は当てるよ!一番乗り、貰っちゃえー!」ドドドドッ!!不知火(なかなかやりますね…この砲撃の嵐の中、まったく
小動もしない…やはり、確実な命中弾でなければ…)
Верный「くっ!!至近弾か、魚雷発射管を持っていかれた…」不知火(このままではジリ貧…ならば!)
不知火「不知火、吶喊します!」
(既に右45度の位置にまで接近していたレ級に向かって、不知火は艦首波を巻き上げながら、真っ直ぐに突撃する)
不知火「改めて、久しぶりですね――――」
ドウッ!!(レ級が主砲の1基を不知火の正面に向けて放つ。その砲撃を不知火は跳躍して躱し、その勢いのままレ級の顔面に向けて両手を振り下ろした)
不知火「――――沈めっ!!」
ガキィン!(振り下ろした両手は金属音とともにレ級の尻尾によって阻まれる。その手に握られていたのは、黒色の刀身を持った片刃のナイフ。「夢の中の少女が持っていたナイフ」を試みに再現したところ、まるで「超一流の使い手に指導を受けたかのように」手に馴染み、それ以来、主砲、魚雷に並ぶ主武装として不知火が愛用しているものだ)
「「ニィッ――――」」
(ナイフを突き立てた姿勢のまま、互いに笑みを交錯させる。一瞬後、レ級の剛腕が不知火のいたところを薙ぎ払うが、それを宙返りするような形で躱し、不知火はレ級の背面に着水する。そして―――)
ゴッッ!!(不知火は巨大な水柱が背後に立つのを確認し、微笑んだ)
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