「なんだとっ!?」

悲鳴交じりの怒声とともに執務机に拳を叩き付ける音が響き渡る。執務室にいるのは3人。この司令部の長たる提督と、出撃中の秘書艦・不知火の代理で執務室に詰めている戦艦・長門、そして、先の怒声の原因となった知らせを持ち込んだ軽巡洋艦・大淀。怒声を上げたのは長門、拳を打ち付けたのは提督である。大淀は平静を保とうと努めながら、先の知らせを繰り返した。

大淀「はい。升黒 蛮ますくろ ばん提督率いる艦娘部隊が『彼ら』の本拠地を襲撃…返り討ちにあい、升黒提督は身柄を拘束されたとのことです」

『彼ら』とは、この鎮守府に2人の英霊サーヴァントを送り、そして今停戦の証として重巡洋艦・青葉を預かっている魔術師とそのサーヴァントたちである。

長門「馬鹿な…何故升黒提督が……いや、今はそんなことを言っている場合ではない。大淀、至急出撃中の全部隊に帰還命令を」
大淀「既に。吹雪、扶桑、不知火には招集も掛けてあります」
長門「…流石だな。済まんが明石も呼んでくれ。事と次第に依っては、嘗て例がないほどの大いくさになる…」


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