長門「真名が分からぬのは…3人か」
不知火「ええ、まずは北方で戦った謎のサーヴァント…」
吹雪「全員の記憶が消されてしまっているうえに、手掛かりが全くと言って良いほど残っていません…」
長門「唯一の手掛かりが全員の身体に刻まれた切り傷…ふっ、まるで『切り裂きジャック』だな」
不知火「ふむ…では『ジャック(仮)』とでもしておきましょうか」
扶桑「あとの2人は?」
長門「うむ、まずは青葉との停戦交渉に現れた、アサシンを名乗る男。伝聞で済まないが…武器らしきものは持っておらず、服装からすると中国人、清代前後の人物と推測される」
大淀「それだけでは…絞り込むのは難しいですね…」
長門「戦うところを見ていないのでな…後で目撃した者にも聞いてみるとしよう」
吹雪「最後の1人は?」
不知火「ドレイクとの『演習』の折、アタランテと共に扶桑さんに接触してきたランサーです。扶桑さん、何か手掛かりになるようなことは…?」
扶桑「あ、あまりはっきりしないのだけど…あの光線を放つとき、呪文のようなものを言っていたわ。確か、『ぶらふまーすとら』とか…」
「「!?」」
不知火「まさか…宝具の真名…!?」
大淀「あの扶桑さんが…なんという幸運!」
扶桑「その言い方はちょっと…」
長門「『ブラフマーストラ』か…響きからするとインド方面か?」
初雪「『
梵天よ、地を覆え』…元ネタはマハーバーラタ…使い手は…たくさんいる…」
「「!!??」」
始終黙って会議の様子を見ていた初雪の言葉に、全員が驚き振り向いた。
初雪「扶桑さん、その人…武器は何持ってた…?」
扶桑「確か、槍だけだったはず、だけど…」
初雪「なら一番可能性高いのはカルナ…太陽神スーリヤの息子…」
不知火「は、初雪…インド神話に詳しかったの…?」
初雪「ゲームとかマンガの題材になってるから覚えた…他の神話もだいたい分かる…」
長門「なんと…今日は驚きの連続だな…」
不知火「ふむ…では初雪にも大淀さんの隊に加わって貰いましょう。敵の正体をなるべく早く看破し、皆に報せてください」
初雪「いいけど、もっちーにも入って欲しい…新しめのはあの子の方が知ってる…」
不知火「分かったわ。吹雪、望月をここに呼んで貰えるかしら?」
吹雪「は、はいっ!」
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吹雪が館内放送で望月を呼び出している間、大淀は、耳元にやってきた妖精と何やら会話しているようであった。
大淀「…ええ…はい、分かりました。ありがとう」
不知火「大淀さん?」
大淀「青葉さんから送られてきた暗号文の解読ができました」
長門「暗号だと?いつの間に…」
大淀「升黒提督のGPSの電波が数分おきに不規則に明滅していたので気になっていたのですが…どうもモールス信号になっていたようです。この司令部の暗号表で解読してみたところ…『ワレアオバ』と…」
不知火「青葉さん…危険なはずなのに…」
大淀「そのあと続けて数文が送られてきたところで電波が途切れてしまいました」
扶桑「電池切れ?それとも…」
不知火「くっ…」
長門「それで、その内容は…?」
大淀「はい。意味が取れたのは4文です。『キュウケツキニキヲツケロ』『リュウノケシンニキヲツケヨ』『モウジュウチュウイ』『チイサキモノニテヲダスナ』以上です」
吹雪「敵の正体のヒントってことでしょうか…?」
大淀「おそらく。しかも危険度の高いものが優先して送られてきている可能性が高いです」
扶桑「初雪さん、これで何か分かる?」
初雪「これだけだとちょっと…もっちー来たら聞いてみる…」
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