利根「っくぅ!」

反射的に後ろに跳ぶ。瞬間肩から脇腹まで袈裟懸けに切り裂かれた。
一瞬でも跳躍が遅れたら真っ二つにされて死んでいただろう。
さらに追撃を加えようとしたが、残るメンバーが総出で横槍を入れて食い止めた。

モ「お前ら……楽には殺さんぞ」

怒髪天を突いたセイバー。吹き上がる怒気と殺気は艦娘が知るそれとは桁違いの物だった。
セイバーが剣を振り上げる。何事かと艦娘が見て、ふと気が付く。剣が赤い稲妻を纏っている、と。

北上「皆、避けて!」

モ「うらぁっ!」

危機を察した北上が警告を発し、次の瞬間剣が振り下ろされた。噴出した魔力は赤雷と化し、先ほどまで利根がいた場所を吹き飛ばしそのままの勢いで土手を破壊、大穴をあけた。

モ「チッ、詰まんねえなあ。チョロチョロ逃げ回ってばかりだ、その大層な武器は飾りか?」
モ「おら、来いよ。ちまちま撃つことしか能がねえ奴らがどこまでできるか、見せてみろ!」

大井「―――ッ!艦娘舐めんじゃないわよ!」

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夕立「やぁぁぁぁぁぁっ!」

犬「そらっ!返すぜ!」

夕立「痛ッ!……まだまだっぽい!」

一息で接近してからの渾身の回し蹴り。ランサーはこれを容易にいなし返す刀で薙ぎ払い、夕立は直撃を貰い弾き飛ばされるも受け身を取って立ち上がる。

犬「ヒュー!やるね嬢ちゃん、そら次だッ!」

夕立「ッ!?っくぅ、あああっ!」

再び立ち上がった夕立に神速の突きを浴びせかける。夕立はこれを避けられず、地面に紅い花が咲く。他の姉妹は一連の戦闘に手を出すことができず、傍観するほかなかった。

夕立「ふぅ、はぁ……」

犬「嬢ちゃん、根を上げるにはまだ早いぜ?」

夕立「が、あああっ!」

夕立の動きが止まったところにさらに石突での殴打。疲労と流血による衰弱の影響で夕立はもう回避もままならなかった。

時雨「させるか!」

さらなるランサーの追撃に割り込み、これを食い止める。が、妨害のために撃った砲弾をすべて回避され、ランサー本人は涼しい笑みを浮かべている。

犬「おっ、いいねえ。そこの嬢ちゃんはもう無理そうだしな、そら、次はどうするんだ?」

夕立「余所見をするな…お前の相手は私っぽい……!」

犬「あん?そりゃまあこっちも望むところではあるが、殺しちゃならないっていうオーダーでな」
犬「そのまま続けたら嬢ちゃん、死ぬぜ?」

夕立「うるさいっぽい!お前なんかに――――――お前なんかに負けられないんだから……!」

犬「………ほう」

瞬間。数メートルの距離を一瞬で詰め、

夕立「な――――――」

犬「気づくのが遅えよ、間抜け。――――――――飛べ」

ズドォン!

無防備な夕立を蹴り飛ばした。夕立はそのまま十メートル以上弾き飛ばされ、近くのビルの壁に叩き付けられた。

犬「言ったろ?殺せないんだよ、まだ」
犬「死合がしたいなら後でいくらでも付き合ってやる。だが、今は寝てろ」


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