瑞鶴「ッ!?」

15発の魔弾は、足の止まった瑞鶴に容赦なく襲い掛かった。

バガァン!

瑞鶴「……あれ、生きてる…!?」

瞬間的に死を覚悟し目を閉じた瑞鶴であったが、目を開くと同時に自分が生きていることに、次いで大した損傷を受けていないことに驚いた。

瑞鶴「翔鶴姉!!」

代わりに損傷を引き受けたのは姉の翔鶴だった。咄嗟に瑞鶴を庇い、かつ自分の弓や甲板に重大な損傷を及ぼさなかったのは奇跡と呼んでよいかもしれない。代わりに肉体には相応のダメージを負い、服は見るも無残に破れ、額からも血を流していた。

加賀「く…このままでは…」
赤城「一度に15発、時に30発もの弾を撃ち込んでくる射手など、一体どうやって対処すれば…」

相次ぐ絶望的な状況に悲観的になる赤城だったが、然し全ての艦娘が絶望していたわけではなかった。

鬼怒「ちょっと待ってよ!ここに軽巡と駆逐艦が何隻いると思ってんのさ!」
由良「そうですね。防空なら私たちの専売特許です」

長良型の軽巡娘たちが気勢をあげる。

文月「ひい、ふう、みい」
叢雲「駆逐艦は24隻ね。充分じゃない?」
雷「28隻よ!私たちがいるじゃない!」

橋の対岸側から、遅れてやってきた龍驤・隼鷹と第6駆逐隊が駆けてくる。

綾波「でも、最高30で済むとは限りませんよ?」
菊月「何、1人1本という訳でもないだろう」
長月「そうとも。我らを乗り越えようと思うならその3倍、いや30倍は持って来いというものだ」

高角砲や機銃を構えながら、橋の上に駆逐艦娘たちが立ち並ぶ。その様子を頼もしげに眺めながら、更に手を挙げるものがあった。

飛龍「防御だけじゃ物足りなくない?」
蒼龍「艦載機が撃ち落とされるなら、撃ち落とされにくい艦載機を使えばいいわけで」

弓を構える空母娘が2人と、ボウガンを構える空母娘が1人。

大鳳「優秀な子たち、本当の力を見せてあげて。第六○一航空隊!」
飛龍「友永隊!」
蒼龍「江草隊!」

「「「発艦始め!」」」

赤城「みんな…」

思わず声を震わせる赤城の肩に、加賀が手を置く。

加賀「ここで止まる訳にはいきません。行きましょう」
赤城「加賀さん…ええ。翔鶴さん、走れる?」
翔鶴「な、なんとか…」
赤城「では行きましょう。残りの空母と…第11駆逐隊」
吹雪「は、はい!」
赤城「護衛をお願いします。皆さん、続いて下さい!」


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