島風「喰らえっ!」
引き絞るような構えから放たれる拳。が――――――
アタ「私を弓兵と侮ったか!」
そのまま腕を絡め捕り―――何の躊躇もなく破壊した。
――――――あまり知られてはいないことではあるが、彼女はかつてレスリングでアキレウスの父親であるペレウスを破ったこともある。それも、現在の『スポーツ』のレスリングではなく、ひとたび大会を開けば複数の死人が出る古代ギリシャのレスリングである。決して近接戦闘ができないわけではなく、相手を甘く見て突出した島風の完全な失策だった。
島風「あ゛ああああああっ!!!」
連装砲ちゃん「きゅーーーっ!」
アタ「ふんっ!」
腕を破壊した勢いで地面に叩き付けられ、思わず悲鳴を上げる島風。そんな主人を守るべく立ちふさがった連装砲ちゃんは砲塔を掴まれ、もう一体の連装砲ちゃんに叩き付けられて破壊されてしまう。
そして、残った最後の連装ちゃんが狙いを定める前に島風の足と通信機を破壊し、第十六駆逐隊が来る前に戦場を離脱した。
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不知火を筆頭とする四人は木々をかき分け小川を飛び越え、走り続ける。
霞「はぁっ、はぁっ……」
重い艤装を背負い、息を切らせながら走り続けると不意に森が開け大きな洋館を見つけた。
――――――そう、彼女らはついに魔術師の拠点である『工房』に到達したのである。
陽炎「やっと見つけた……とりあえず、忍び込める場所を探さないと」
不知火「待って、陽炎」
そう言うと足元から石を拾い、洋館めがけて投げつけた。すると―――
ジュッ!
陽炎「……これはまた強力な守りね。危うく消し炭になるところだったわ、ありがとう不知火」
不知火「お気になさらず」
霰「じゃあ、何処から入る?」
霞「決まってるじゃない。あのいかにも此処から入るように誘っている門から入るのよ」
陽炎「危険すぎない?」
不知火「でも他に入る場所は無いようです。他に侵入できる場所を探す余裕はありませんし、行くしかないでしょう」
陽炎「正面突破、か。やるしかないわね、覚悟を決めるとしましょうか」

侍「おお、このような月夜に可憐な花が四人も来るとは。さて、この屋敷に何の用かな?」
陽炎「とぼけないで。そこを通して、私たちの仲間を返しなさい!」
侍「これは異なことを言う。見てのとおり拙者は門番、そしてお主らは仲間を助けに来ているのだろう?ならばやることは一つではないのか?」
霞「――――――ええ、そうね。問答は無用だったわ。アンタを倒して、中に入る!」
侍「その意気だ。娘よ、名はなんという?」
霞「霞よ!」
侍「霞か、良き名だ。拙者は――――――アサシンのサーヴァント、佐々木小次郎」
侍「来るがいい船の子よ、その力で見事拙者を乗り越えて見せるがいい!」
霞「―――行くわよ!」
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