ブゥン……
江草隊の彗星が目指したのは新都、市街地の一角――そこでは、天龍と金剛型四姉妹が、“アリス”ナーサリーライムの操るトランプ兵に取り囲まれていた。
ナ「クスクス、ほらほら、どうしたの?お友達はここよ?」
ナーサリーライムの傍らには、人外の巨獣ジャバウォック。その手には気を失った龍田の身体が握りしめられていた。
翔鶴『――江草隊、爆撃開始!』
ナ「何っ!?」
ナーサリーライムの背後から接近した江草隊は、彼女の不意を衝くことに成功した。
ドォッ!!
爆風が彼女と天龍らの間にいるトランプ兵たちを吹き飛ばす。
比叡「航空支援!?」
金剛「Chanceよ天龍!」
天龍「おおおおおおっ!!」
ナ「!!」
キィ……ン!!
逆袈裟の一閃。天龍の刀は見事ジャバウォックの腕に深い傷を与え――
天龍「龍田っ!!」
龍田「天龍…ちゃ……?」
天龍「すまねえ龍田……遅くなった…!」
解放された龍田の身体を、天龍は深くかき抱いた。
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翔鶴『――友永隊!』
ドッ!!ドッ!!
天山一二型を駆る友永隊が標的に定めたのは、白き聖剣で雲龍を地に押え込んでいる騎士、ガウェイン。
ガ「くっ――」
連続して仕掛けられる大型爆弾の爆撃に注意が緩んだのを、見逃さなかった者がいた。
潮「やあああっ!!」
白「うッ!」
ゴッ!
果敢に仕掛ける体当たり。小柄な少女の姿であるが、全力の体当たりは1,680トンの物体が衝突するのと同じ威力を持つ。これにはさしもの騎士も堪らずたたらを踏み、拘束の解けた雲龍は、次いで駆逐隊の仕掛ける砲撃の間隙を縫って脱出に成功する。
飛鷹「――走って!アウトレンジに徹するのよ!」
騎士の主武器は剣。兎に角間合いに入らせず、空母の利点である長射程で攻撃を続ける。
白「無駄です!!」
両腕で頭部をかばい、飛鷹に向けて突進を仕掛けるガウェインだったが――
朧「撃て撃てーーっ!」
白「ちぃっ!」
追いつかれる前に駆逐隊が砲撃で牽制し、その足を止める。
漣「どっちに向かうんです!?」
飛鷹「川よ!こいつを振り切って、北上たちを助ける!」
白「逃がしません!」
6人の艦娘と騎士の鬼ごっこが始まった。
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翔鶴『第六〇一航空隊!!』
ガガガガッ!!
元は大鳳の指揮下にあった、六〇一空の烈風――その機銃弾は、白露型の面々を相手取る青のランサー、クー・フーリンを目標に定めた。ランサーを取り囲む駆逐艦娘は5人。既に夕立は何メートルも先のビルに叩き付けられ、五月雨は殴打を受けて気を失っている。
犬「おっと!」
持ち前の回避能力…スキル『矢避けの加護』は、発射された瞬間を目視さえすれば、如何なる飛び道具であろうと回避を可能にする。艦戦の機銃弾も例外ではない。が――
春雨「こっちです!」
犬「ふん!」
ガンッ!
跳躍して避けたランサーを、側面から春雨の10cm高角砲が追撃。これは空中でブリッジのように器用に身を逸らして躱す。
村雨「ええい!」
白露「やああっ!!」
ドッ!ドッ!
犬「ふっ!」
左右からの挟撃は、深紅の槍の一振りで、はじき返される。
涼風「でええいっ!」
ドッ!
犬「けっ」
着地を狙った涼風の砲撃。しかしタイミングが甘く、再び跳躍することで回避される。その跳躍は、今砲撃を放った涼風を正確に狙い――
五月雨「やあああっ!!」
犬「何っ!?」
ガァン!!
気を失って倒れていたはずの五月雨が突如息を吹き返し、涼風の前に割り込んだ。真正面からランサーの顔面を狙った砲撃だったが、これは槍に防がれ――
時雨「そこだっ!!」
ドッ!!
犬「チィ!!」
完全な死角、背後からの時雨の砲撃。これも後方に振り上げた槍が防ぐ。
犬「これで仕舞いか、中々の連携だが――」
「まだ、終わってないっぽい」
犬「んなっ!?」
ガシッ!!
右腕で背中越しに振り上げた槍。その上に人間1人分の重量が加わる。それは、確かにビルの壁に打ち付けられ、瓦礫に埋もれたはずの――
夕立「捕まえた――!」
血塗れのままの夕立が、槍と、それを握る右腕にしがみつく。夕立の紅い瞳がランサーの赤い瞳と交錯し、愉しげに細められた。その右手には、牙を剥く獣の意匠が施された魚雷が、棍棒のように握られている。
夕立「倒したと思ったっぽい?残念――ソロモンの悪夢、見せてあげる!!」
ゴバァッッ!!!
右腕が巻き込まれるのも気にせず、夕立は渾身の力で魚雷を槍兵の脳天に叩き込んだ。
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