紅茶「ハァッ!」
黒白の姉妹剣が振るわれ、正面から突撃してきた叢雲を迎撃。さらに結界の中に展開された無数の宝具が四方から突撃した暁型四姉妹の頭上から降り注いだ。
叢雲「喰らいなさい!」
弾かれた槍に身を任せ、その勢いのまま回転してからの横に薙ぐ。アーチャーはこれをさらに防ぎ、槍が構えなおされる前に接近、強烈な蹴りを見舞った。そのけりにたたらを踏むもすぐに立て直す叢雲。
数十合に及ぶ剣戟。珍しく、本当に珍しくアーチャーはこの戦いを楽しんでいた。
無論彼は決して認めないだろう。それでも、自らの理想に対して真正面から挑んでくる彼女の姿は、彼には少しまぶしく映ったのだ。
紅茶「―――チッ!」
―――だが、その時間は長くは続かない。生き残った艦娘が撃ち放った一発の砲弾が、奇跡的にアーチャーの方に命中した。
紅茶「……ここまでか」
アーチャーはこれを以て頃合と判断。時間稼ぎは十分だと判断し、固有結界『
無限の剣製』を解除した。
~~~~~~~~~~~~~
嵐のように振るわれる武器をかわしつつ時には砲撃、時には徒手格闘で戦い続ける。本来ならば瞬く間に狂戦士に粉砕されて終わりだっただろう。しかし、魔力によって底上げされた艤装が、十数合に及ぶ戦闘を可能とさせていた。
長門「ふぅ、はぁ…」
湖「■■■■■■■■■■■……」
突然狂戦士が得物を手放し、距離を取る。長門も好機とばかりに乱れた息を整えながら、相手を観察する。
長門「こいつも過去の英霊だとは言うが…」
漆黒の鎧。狂戦士を覆う黒い靄。はたして、何処の英雄か。
ふと思索に没頭しそうになる。―――そして、気が付いた。
急速に収束していく黒い靄。靄から現れる一振りの剣。
ドクン
長門「あれ、は」
ドクン
本能の警鐘が鳴り響く。アレはまずい。あれが何かは分からないが、あれだけはこの場に出てはいけない。
だが動けない。そうしていくうちに靄がすべて消えた。
現れた剣の銘は
無毀なる湖光。
約束された勝利の剣と起源を同じくする、人の願いを糧に星によって鍛え上げられた神造兵器である。
湖「■■■■■■■■■■■ーーー!」
長門「ぐぅっ、あああ……!」
狂戦士の動きが変わった。先ほどまでの狂った獣が暴れるような動きではなく、荒々しい中にも精緻さが含まれる、円卓最強の騎士の動きへと。
そして長門は思い知ることとなる。自らが相対している相手が、文字通りその力によって人類史にその名を刻みこんだ“英雄”であることを。
→