キィン!!ガガガッ!!ドガァッ!!

夜の新都に、剣閃と射撃、爆発の音が響き渡る。周囲には繰り返される爆発の作り出した煙がゆらめき、火薬の残す悪臭が充満していた。

川内「騎士王、アーサー…か」

深手はないものの、全身に切り傷を負った川内は、魚雷の形の苦無を構えたまま呻いた。

川内(正体がわかったといっても、弱点らしい弱点があるわけでもなし――息子や部下に裏切られたって辺りをくすぐってやれば…)

精神的な弱点をついて冷静さを失わせる策……一瞬浮かんだその考えを川内は頭を振って否定する。

川内(駄目だね。戦って判ったけど、こいつは『怒らせると強くなる』タイプだ。下手に刺激しないほうがいい…)

青「どうしました、もう降参ですか?」

不可視の剣を下段に構えながら、セイバーはあくまで油断のない表情で問いかける。

川内(流石だよ、アーサー王…私なんかじゃ相手にならないって判ってるくせに、どこまでも慢心がない……だからこそ、どんな搦め手でも察知され、潰される。そう、だから――こいつに勝つには、察知しても潰せない・・・・・・・・・策を使うしかない!)

青「――そうでした。私が名乗ったのです、貴女も名乗りなさい。フネの戦士よ」
川内「名乗り?」

そういえば、まだ名乗っていなかった。成程、この正々堂々たる騎士に対して、それは余りに不遜というものだ。…それに、そろそろちょうどいい・・・・・・頃合だ。

川内「はは、それじゃ遠慮なく。私は川内型軽巡洋艦1番艦、川内!鎮守府一の夜戦馬鹿とは、この私のことだ!!」
青「――っ!?」
川内「気づいたね?けど、気づいたときには、もう遅い!!」

ゴバァッ!!

青「剣が、爆発――!?」

突如、セイバーの構えた不可視の剣が『火を噴いた』。

川内(その剣が見えないカラクリ、圧縮した『空気』によるものだってのはスグに判った。だから、その『空気』の中に少しずつ混ぜていたんだ、『燃料の蒸気』をね。ニオイで気づかれちゃマズイから、火薬多めにばら撒いてカモフラージュしたけど、まあ上手くいったかな。あとは――)

青「く……」

自分さえ飲み込もうという火勢に、セイバーも思わず身を逸らしてしまう。

川内「今だ、那珂ちゃん!!」
那珂「はい!」

脱出するには今しかない。那珂は走れない神通を背負い、川の方角に向かって駆け出す。鳳翔、川内もその後を追う。

青「ま、待て――『風王インビジブル・――」

川内「無駄だよ!」

グワァッ!!

青「炎が――」

川内(バックドラフト――束ねた『空気』を解けば、炎は更に風を含んで大きくなる。こうなれば、吹き散らそうとしようが、燃料が燃え尽きるまでは止まらない。これこそが、察知しても潰せない・・・・・・・・・、川内流火遁術だ!)

走りながら、川内は己の勝利――脱出の成功を確信する。…否、確信してしまった。

青「センダイ……貴女は強かった。その名は間違いなく、強敵のひとりとして私の胸に刻まれることでしょう」

故に、真に油断なき騎士王の前には後一歩、及ばなかった。王は、燃え盛る炎の剣を大上段に構え、叫ぶ。

青「決める――風王鉄槌ストライク・エア』!!

カッ――

川内「な――」

川内が最後に見たものは、全てを巻き込む炎の渦。セイバーは、炎を消そうとするのではなく、その炎で川内自身をも飲み込んだのだ。

青「……」

炎の嵐が過ぎ去り、倒れているのは川内のみ。他の3人は既に夜闇の向こうに走り去ってしまったようだ。漸く勢いの治まりつつある炎の剣を携えたまま、セイバーは踵を返し、自らも夜の新都へと消えていった。


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