白「――さて、あとは貴女がただけだ」

飛鷹を一太刀のもとに斬り倒し、雲龍をも拳の一撃で昏倒せしめた白き騎士は、第7駆逐隊の面々を睥睨しながら言った。

白「その小さい火器しか持たない貴女がたでは、2人のように戦えはしないでしょう。諦めて――」

「……舐めるな」

白「――ん?」

曙「駆逐艦を舐めるな!!この糞ナイト!!」

曙が吠える。その目には涙が滲み、膝はガクガクと震えている。が、真っ赤に血走った目は怒りに燃え、目の前の騎士をじっと睨みつけている。

朧「そうだ!小さいからって馬鹿にするな!」

口から血混じりの泡を飛ばしながら。

漣「紳士が聞いて呆れますね、ナイト様」

大げさに肩をすくめながら。

潮「みんなを馬鹿にするなら、あたしだって許しません!」

砲を構え、黒髪を振り乱しながら叫ぶ。

白(……無駄な血を流したくない故あえて言ったことでしたが、逆に火をつけてしまいましたか――仕方ありません)

白「確かに非礼でした……先の発言はお詫びしましょう」

言って、セイバーは白き聖剣の刀身を見せつけるように構える。太陽の加護を受けた聖剣は、今は月明かりを受けておぼろに輝いて見えた。

白「非礼の詫びに――私の全力を以って貴女達を迎え撃ちましょう。来なさい、小さくも勇敢な戦士たちよ」

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犬「勝負あったな」

今度こそ完全に戦闘不能となって倒れ伏した夕立を後目に、真紅の槍の英霊は残りの6人に向かってゆっくりと歩み出す。

白露「う……」

犬「『1000発で当らないなら10000発、10000発で当らないなら100000発』、ああ、大いに結構だ。だが、お前らは忘れていたようだな。『当たっても倒れねえ敵』ってのがいるんだよ」

涼風「ぐぐぐ……」

悔しさに歯噛みする6人に対して、ランサーの表情は涼しげだ。夕立につけられた額の傷を指差しながら言う。

犬「自慢じゃねえが生前はハラワタ落としそうになりながら戦い続けたくらいでな。この程度の傷じゃ足枷にもならん」

それを聞いて6人の表情が変わる。その有名な逸話は、初雪と望月の挙げた名の1つに符合するからだ。『モウジュウチュウイ』の暗号が指し示したその名は――

五月雨「クランの猛犬……」
時雨「クー・フーリン…!」

犬「ご名答だ。そして分かっただろう。こと俺を相手にするのであれば、『止めたければ倒すしかない』ってことがな」

6人は応えない。応える必要など、既になかった。

犬「んじゃ、終わりにしよう……ぜ!!」

最後の一声に気合を込めて、青き猛犬は高々と跳躍した。


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