天龍「龍田……」
ナ「クスクスクス、どうしたのカタナのお姉ちゃん?もっと遊んでよ!」
言われるまでもない。この落とし前はつけさせてやる――そう念じてキャスターを睨み付ける天龍だったが……
金剛「ちょっと待つネ」
天龍「は?」
左手で天龍の右肩を押える。訳が分からない、という顔の天龍に、金剛は続けた。
金剛「北上たちを助けに行ってほしいノヨ……アノ子たちが負けチャウと、青葉を見つけても帰り道がないネ」
北上らが対峙する赤い甲冑のセイバー=モードレッドは、未遠川の河口を巨大な氷の闘技場で塞いだままである。これを排除しないことには、確かに『青葉の生還』という勝利条件は果たせない。
金剛「きっと、そのウェポンが役に立つネ」
天龍「話は分かったけどよ……結局こいつらをどうにかしねえと、そっちに行くのも無理なんじゃねえの?」
天龍の指摘も尤もだ。既に復活したトランプ兵とジャバウォックは、再び彼女らを分厚い包囲網で包み込んでいる。が、金剛は天龍の指摘を「チッチッ」と指を振って否定した。
金剛「奥の手があるネ。霧島?」
霧島「はい、お姉さま。準備はばっちりです!」
何個目かのスペアの眼鏡をくいっと上げながら得意げに話す霧島は、壊れた主砲の代わりに、或る物を背負っていた。
天龍「……スピーカー?」
霧島「もしものときの為に録音しておいたこれが、まさかこんな所で役に立つとは」
天龍「録音しておいたって……まさか!?」
それが引き起こした惨事は、天龍も通信で聞いて知っている。通信越しですら、天龍の聴覚を一時的に奪った代物だ。威力は折り紙付きだろう。
霧島「じゃあ、早速行くわよ――みんな、準備はいい!?」
動きの鈍くなった体をおして徒手でトランプ兵の相手をしていた榛名と比叡も、霧島の背後に回って耳を塞ぐ。天龍も慌てて頭部ユニットで自分の両耳を押え、自らの手は龍田の鼓膜を保護するために使った。
霧島「
『鮮血魔嬢・再録』ーーーッ!!!」
『L
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
――――ッ!!!』
ナ「きゃあっ!?」
突然巻き起こる『音の暴力』に、キャスターも思わず耳を塞ぐ。実際のところ、サーヴァントたるキャスターにはダメージはほとんどない。宝具『鮮血魔嬢』の本質は、その怪音波に加えて放たれるドラゴンブレスの衝撃波だからだ。録音版であるところの『鮮血魔嬢・再録』は、その音波の部分だけを取り出したに過ぎない。だが、キャスターの手下たちにとっては、それでも十分な威力を持っていたようだ。
「!?」「――!」
霧島の正面にいたトランプ兵の群れが、ドミノ倒しのように一斉に地に伏せる。音の及んだ範囲を示すように扇型に開いた空間を、天龍は勢い良く飛び出していった。己の刀と、龍田の長刀を持って。
天龍「サンキューな!龍田のこと、頼んだぜ!!」
ナ「ジャバウォック!」
「■■■■■■ーーー!!」
金剛「そうはさせないネ!」
天龍を追って飛び出そうとした巨獣を、金剛と比叡が砲撃で牽制する。
比叡「貴女達の相手はこっちです!」
金剛「さあ、ダンスパーティーの時間ね!!」
→