ヴ「どうした蛮族の娘よ。その程度では余の裁きからは逃げられんぞ?」

陽炎「『極刑王カズィクル・ベイ』……ヴラド、三世…」

『キュウケツキニキヲツケロ』、青葉からの警告が指し示したその名を、陽炎は思い起こしていた。

ヴ「如何にも、余こそはワラキア公ヴラド・ツェペシュ。数多の蛮族が余の槍に貫かれ消えていった。貴様らも同じ運命を辿るが良い」

見下す瞳が冷徹に閃き、更に突き立つ杭たちが陽炎らを追い込んでいく。

不知火「くっ…!」

飛び跳ねて躱す不知火の表情にも余裕がない。一方…

霰「任せて…」
不知火「霰?」

同じく杭を避けながら、霰は普段の無表情のまま呟いた。

霰「主砲、機銃、撃ちます」

ガガガガガガッ!!

ヴ「…フン」

霰の放った砲弾、機銃弾は全て、先程陽炎が撃ったものと同様、杭に弾かれ、明後日の方角に飛んでいく。…が。

霰「避けないと、当たりますよ…?」
ヴ「何?」

ガガガガガガッ!!

不知火「まさか――」
ヴ「跳弾…だと!?」

杭に弾かれた弾は、互いに弾きあい、壁に反射し、四方八方からヴラドに襲い掛かった。

ヴ「ぬぅっ!」

ここでヴラド=ランサーは、初めて己の握った槍を振るい、降り注ぐ砲弾の雨を切り払って防いだ。その隙に、陽炎・不知火の2人は玄関の広間を突っ切り、奥の扉に到達していた。

ヴ「小賢しい真似を…!」
陽炎「どうだ!霰はウチの艦隊で一番射撃が上手いのよ!」
不知火「霰、ここは任せました」

蛮族と呼ばれたことへの腹いせか、陽炎が蹴破った扉へと2人は飛び込んでいく。

ヴ「むう…」

苦虫を噛み潰したような表情のランサーに向かって、艦隊一の射手が名乗りをあげた。

霰「第18駆逐隊、霰、行きます…!」


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