叢雲「だから言ったでしょう?艦娘は甘くないって」
紅茶「どうだかな……此方の優位は変わっていない」

にやりと微笑んで見せた叢雲に対して、赤い外套のアーチャーは冷ややかな表情を返す。固有結界『無限の剣製』の中で行動能力を奪われたかに見えた艦娘たち。しかし、叢雲らがアーチャーと切りあう裏で、互いの脚に当て板などの処置をし、生き残った機関を融通し合って最低限の移動能力を得ると、次々と川へ飛び込んで自ら成すべきことのために動き始めたのだった。

叢雲「あとは、アンタに勝つだけよ!」
紅茶「それは、不可能だと言っている!!」

アーチャーの背後から第6駆逐隊の4人が飛び掛る。それを察知していたアーチャーは何を思ったか、夫婦剣の片割れ、黒い短刀『干将』を、4人の着地点の地面めがけて投げつけた。

カッ――!!

紅茶「――『壊れた幻想ブロークン・ファンタズム』」

宝具とは、いわば高密度に圧縮された魔力の塊である。それを敢えて破壊し爆発力に変えれば、絶大な威力を発揮する。陸奥がバーサーカーの『騎士は徒手にて死せずナイト・オブ・オーナー』で不完全に宝具化した己の艤装で放った其れを、宝具を無限に投影できるアーチャーは、何度でも用いることができるのだ。

暁「あ――」

距離があるうちであったことは、4人にとって或る意味幸いであった。自らの跳躍力を大きく超えて弾き飛ばされた4人は、橋の対岸近くまで飛ばされて落下する。戦闘不能は自明であるが、それを顧みている余裕は叢雲にはなかった。1刀になったアーチャーに向かって、これを勝機と突撃を仕掛ける。が――

紅茶「――貰った!!」


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