10数分ののち、秘書艦である不知火と、長門と同じく秘書艦代理を務める扶桑、吹雪、工廠担当の明石…そして何故か吹雪の肩を借りて立つ初雪が執務室に集合した。
吹雪「済みません…来る途中で初雪ちゃんが足挫いちゃって…明石さんの所に連れていこうと思ったんですが…」
明石「はいはい、ここで診ますよ。すいません、会議中なのに」
不知火「構いません。手を動かしながらでいいので話には参加してください」
不知火「…『彼ら』から何か声明などは来ていますか?」
大淀「いえ、まだ」
長門「だが、青葉返還に向けた交渉に何の影響もないとは考えられん」
吹雪「あの、襲撃に参加した子たちの安否は…」
長門「それも不明だ。襲撃後、升黒司令部は反撃にあい、全員と連絡が取れなくなっている」
吹雪「そんな…」
扶桑「そもそも、何で升黒さんは襲撃なんてできたのかしら…?相手の居場所どころか、青葉さんが囚われてることだって知らなかったはずなのに…」
不知火「…司令は、上層部含めた各方面の繋がりを利用して、『彼ら』と青葉さんの早期返還に向けた交渉をしていました」
長門「その中の何処かから洩れた、か」
不知火「迂闊といえば迂闊でしたが…」
提督が溜息とともに項垂れる。
不知火「…まあ、今そんなことを言っても仕方ありません」
大淀「上層部の方々は、青葉さんが長期に渡って戻ってこないことを大変気にされていたようです」
扶桑「功を焦った、ということかしら?」
不知火「そんなところでしょう。升黒提督は、司令にライバル心を燃やしていたようですし、出し抜こうとでも思ったのではないかと」
長門「それよりも、今問題は『彼ら』がどう出てくるか、だ。『彼ら』が我々と升黒司令部との関係を知っているとも思えん。我々が一方的に停戦を破ったと見做し…」
吹雪「まさか…報復に…?」
長門「可能性としては充分にあり得る」
吹雪「そんな…」
扶桑「英霊一人にだって歯が立たなかったのに…」
明石「その点ですが、前よりはマシなはずですよ」
初雪の処置を終えた明石が得意げな顔で立ち上がった。
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