その頃…

あきつ丸「ここが不知火殿の言っていた『古城』でありますか…」

陸路から冬木市郊外に潜入していたあきつ丸とドイツ艦娘の部隊は、御三家が一、アインツベルンの所有する城の前庭にいた。

あきつ丸「人がいなければ拠点として確保せよとのことでありますが――」
Z1「見たところ誰もいないようだけど…」
Z3「とりあえず入ってみる?」
Bis「ごめんくださーい!誰かいませんかー!?」

「「「!?」」」

あきつ丸「びっびっびっ…ビスマルク殿!」
Bis「どうしたの?」
あきつ丸「どうしたのではないのであります!そんな大声を出しては…」
Bis「だって、人がいるかどうか確かめないと」
あきつ丸「近くに敵がいるかもしれないのでありますよ!?こんなところで……はっ!?」

突如背後に現れた気配に、4人は驚いて振り向き構えを取る。

??「……」
Z3「メイド…」
Z1「…さん?」

気配の主は、黒いワンピースの上に白いエプロン型の上着、白い頭巾を身に着けた、如何にもメイド然とした姿の女性であった。――ただ一つ、その両手に握られた長斧ハルバードを別にすれば。

??「怪しい奴…排除する!」

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同時刻、冬木市北東部、新都の海岸。

天龍「よっと。上陸成功――っと」
龍田「誰もいなくて良かったわね~。さてと、敵のスナイパーさんはどこかな~?」
天龍「今んとこ、狙撃されたって報告はねえな。とりあえず町のほうに行ってみようぜ」

市街地を目指して歩き始める天龍に、龍田がふと疑問を告げる。

龍田「ねえ天龍ちゃん?」
天龍「あン?」
龍田「もしもだけど、敵の中に私たちを見つけられる人がいたらどうするの?ほら~、魔術師っていうくらいだしぃ、絵本の魔女みたいに水晶玉で何でも見えたりするんでしょ~?」
天龍「うーん、そういやそうだな。ま、それはそれでいいんじゃねーの?敵の戦力をこっちに引きつければ、それだけ本隊が動きやすくなるだろ」
龍田「それもそうね~。うふふふ、この子も早く戦いたくて、うずうずしてる♪」

薙刀を愛おしげに撫ぜる妹の姿に頼もしいものを感じながら、天龍は前を向く。

天龍「よっしゃ!それじゃ行こうぜ!」


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