メ「やってくれますね。少々認識を改めた方がよさそうです」
水飛沫の中から飛び上がるペガサス。どうやら海に突っ込む前に制御を取り戻したらしいライダーの手には、先ほどまでなかった『手綱』が握られていた。
鳳翔「なら、もう一度!」
メ「愚かですね。同じ手が二度通じると思っているのですか?」
鳳翔「くっ…」
先ほどは、相手が自分たちを侮っていたからこそ成功した。認識を改め警戒された今、通じるようなものではない。
かといって艦娘に撤退という選択肢はない。もしここで引けば、上陸している仲間たちに二騎の英霊が襲いかかることになる。反撃もできずに仲間たちは倒されるだろう、殺されるかもしれない。だが、それだけは認められない。
だって、―――皆揃って鎮守府に帰ると、誓ったのだから。
だが現状ライダーを止める手立てはない。起死回生の戦術は破られ、自分たちが持つ武器での攻撃は通らない。三式弾や対空機銃、艦載機で対抗するも天馬の羽ばたきで吹き散らされてしまう。
そして何より、ライダーはまだ切り札たる『宝具』を解放していない。
――――――彼女たちは、もう詰んでいた。
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