一方その頃…もう一人の『竜の化身』を相手に、ビスマルクと2人の駆逐艦、そしてあきつ丸は苦戦を強いられていた。

あきつ丸(いったい何なのでありますか、あの打たれ強さは…!尋常ではないのであります!)

あきつ丸もライダー=フランシス・ドレイクと不知火の戦いは聞き知っている。同じサーヴァントであるドレイクも、砲撃に対しては避けるなり弾くなりしており、直撃を受ければ僅かながらもダメージを負っていたという。目の前の“大剣のセイバー”は、それと比較しても常軌を逸していた。

Bis「食らいなさい!」ドウッ!
ジーク「甘い!」
Bis「嘘っ!?」

ビスマルクが驚愕するのも当然である。38cm砲の直撃を顔面に受けても眉ひとつ動かさず突進してくるなど、仮令サーヴァントでも想像をはるかに超えている。思わず体を強張らせるビスマルクを目掛け、セイバーの剣が容赦なく振り下ろされるが…

Z1「ビスマルク!」ドッ!!
Bis「ぐぅっ!」

Z1はやむなくビスマルクを砲撃、その身体を弾き飛ばすことによりセイバーの斬撃から救い出した。

あきつ丸「初雪殿!望月殿!恐ろしく頑丈な…まるで痛みを感じないようであります!心当たりは――くっ、応答がない!?」

ジーク「ふむ…突進してばかりというのも芸がないな。――では、これではどうだ!」

セイバーは立ち止ったまま大剣を振りかぶったかと思うと、あきつ丸の立っている方向に向けて無造作に振り下ろした。

ブォンッ!!

あきつ丸「衝撃波ッ!?」
Bis「あきつ丸!」

ガオンッ!!

Bis「ぐはあっ…!」
あきつ丸「ビ……ビスマルク殿!」

身を挺して衝撃波からあきつ丸をかばったビスマルクが膝をつく。砲塔はどれも無様に歪み、正常な砲撃はもはや望めない。装甲を兼ねた服もあちこちが破れ、覗く素肌からは血が滲んでいる。

ジーク「では終わりだ…」

今度こそ必殺の構えで、セイバーはビスマルクに飛び掛かる。だが、それを見て手を拱いているような駆逐艦たちではない。

Z3「ビスマルクッ!」
Z1「ああああああああっ!!」

ガガガガガガッ!!

2cm四連装FlaK38、2基8門の機銃掃射が、セイバーを『背後から』急襲した。その狙いは正確にセイバーの背面を捉え…

ジーク「ふんっ!」ガキン!

攻撃を止め振り返ったセイバーの剣によってあえなく弾かれた。

ジーク「ふっ…そう簡単にはやらせてくれんか」
Bis「はぁ…はぁ…」
あきつ丸(なんという余裕…!せめて…せめて手がかりだけでも…!)

その時は誰も、セイバー自身でさえもまだ気づいていなかった。これが、この戦いで初めてジークフリートが防御をした・・・・・瞬間だということに――


_vs_magus_5-2