『冬木センタービルにアーチャー認む』の報は赤城率いる第2部隊にも届いていた。

赤城「ええ、此方から空母を出します。それまでなんとか堪えてください――龍驤さん、隼鷹さん」
隼鷹「よしきた!出番だねえ!」
龍驤「ここからならスグやね。6駆の子ら借りてくで」
赤城「頼みます」
龍驤「うっし。攻撃隊、発艦!」

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紅茶「むっ」

センタービル屋上にいるアーチャーの頭上を、1機のプロペラ機が通過していく。先程と同じく偵察――否、触接と気付いた瞬間、

ババババババ…!

無数の爆撃機の群れが押し寄せた。狙い過たずアーチャーの頭上に続々と爆弾が投下されるが、アーチャーは攻撃の手を止めず、自らの最も信頼する「楯」の名を呼ぶ。

紅茶「熾天覆う七つの円環ロー・アイアス!!」

七枚の花弁のような形をした楯は、傘のようにアーチャーの頭上を覆い、爆撃を完全に遮断する。さらに――

紅茶「――――I am the bone of my sword体は剣で出来ている.」

構えた弓の中に、先ほどまでとは違う奇妙な形状をした「矢」が3本現れる。その鏃は、何かと問われれば「短刀」と答えるのが最もふさわしいが、とても何かを斬るための物とは思えぬ形をしていた。
前方に構えた弓を上方に向け直し発射、3本の矢はそれぞれ彗星1機ずつを掠め、バランスを崩した彗星は…次の瞬間、元の「式神」の姿に戻り、ハラハラとビルの屋上に散って行った。

紅茶「――破戒すべき全ての符ルールブレイカー

それはあらゆる魔術を無効にする宝具の真名。この世のあらゆる「剣」の複製を作り出すことのできるアーチャーならではの対処であった。無論、「楯」も「短刀」も第1級の宝具であり、複製といえども立て続けに投影するのはアーチャーにとっても無視できぬ負担である。が、今マスターの元でキャスター=玉藻の前が発動している「水天日光天照八野鎮石」による無尽蔵の魔力供給がそれを可能にしていた。

紅茶「その程度でオレを止められるとでも?張り合いのな――むっ!?」

ドガァッ!!

突如出現した破壊的な気配に対し、アーチャーは「楯」を上方から前方に移すことで対処する。

紅茶「これは……46cm徹甲弾…大和級か!」

アーチャーの千里眼は、冬木大橋袂の公園に立つ浅黒い肌の女を捉えていた。女はアーチャーを見据え、牙を剥いて笑った。

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浦風「さっすが、武蔵さんじゃねえ」
武蔵「ふっ、あそこまで届くのは“私達”だけだろう。心配することはない。ここからなら、冬木市の全てが私の射程内だ」

胸を張り、背負った46cm三連装砲を誇示する。武蔵は自分がアーチャーの矢を迎撃すると言い、護衛に浦風・谷風のみを残して第1部隊の他の艦娘を先に進ませていた。

谷風「3つ!来てるよ!」
武蔵「応!」

ドッ!ドドッ!

飛来する矢を空中で迎撃する。

武蔵「何処を狙っている……私はここだ!」


_vs_magus_7-1