ジーク「どうした、そこまでか」
Bis「いいえ、まだまだよ!」
セイバーが38cm砲の砲撃を耐えて斬りかかり、ビスマルクが紙一重で躱す。攻撃の隙を突いて駆逐艦らとあきつ丸が背中を狙うが、返す刀や腕で簡単に弾かれた。
英霊・ジークフリートの真名は判明した。が、戦況は振り出しから変わっていなかった。寧ろ、ビスマルクの砲が当たらなくなった分だけ悪化していたといえる。
あきつ丸(撤退、でありますか。なるほど、そろそろ潮時ではありますな…)
あきつ丸は黙考する。目の前の英霊に隙は無い。撤退するにも隙を作らなければ、簡単に追いつかれてしまう。
あきつ丸(今の膠着状態が何時まで続くか知らぬが、その間に準備を進め、隙を生み出す。それしかないであります)
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エ「キャハハハハッ!どうしたのネズミちゃん達?さっきまでの威勢は!」
榛名「ぐっ…何故?…さっきより勢いが増してる…?」
エ「あっ、分かる?誰かさんのお陰で、今最高に『ハイ!』ってやつなんだアアアアハハハハハハーッ!!」
那珂「ちょっ!那珂ちゃんの所為!?」
攻撃を再開してからのランサーは速度・攻撃力ともに最高潮だった。既に榛名と那珂の艤装はボロボロであり、艦娘としての攻撃能力を失っていた。
メ「貴女達にもう勝機はありません。大人しく帰らないのなら…」
比叡「何度も…言わせないで!私達は仲間を助けるんだからっ!」
メ「そう、なら……そこの……えっと…照明係!」
神通「私…ですか?」
先ほどから撹乱の為か、戦いながら探照灯を振り回していた神通に、ライダーが釘剣の切先を向ける。
メ「チカチカチカチカと鬱陶しい。まず貴女から…」
神通「あっ、それ見えてたんですか?」
とぼけた顔をしてみせる神通に対し、ライダーは苛立ちを隠さない。
メ「……この子が嫌がってるのです。まず貴女から…その減らず口を利けないようにしてやるわ…!」
神通「……!」
ズッ…バァン!
飛来する釘剣に魚雷を投げ付け軌道を逸らし、バク転で躱しつつ機銃で牽制する。
川内「神通!」
神通「いいでしょう…お相手します!」
自分に攻撃が向くことは、神通にとっては好都合だった。
神通(私が引き付けている間に、皆さんは…!)
二水戦旗艦の意地は、この絶望的な状況にあって、彼女に悲痛な選択をさせていた。
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