一方…
扶桑「みん…な………」
扶桑の負ったダメージは甚大であった。艤装は砲塔一基を残して蒸発し、その残った一基も、融解して原形を留めていなかった。肉体のあちこちからも湯気ではない煙が上がり、生命に関わる状態であることがありありと見て取れた。
山城「姉…さま…」
扶桑「山城……幸運を………」
ザブン。扶桑が直立の姿勢のまま、前のめりに倒れる。水面から見える部分が徐々に減っていく様を目にして、山城は言葉にならない悲鳴を上げていた。
山城「あ…あうぁぁぁあ……」
最上「よくも扶桑をっ!」
三隈「仇はとりますわ!」
20.3センチ砲を構える2人に、黄金色のランサーは問いかけた。
カ「いいのか?“熱”はお前たちにも及んでいたはずだが?」
三隈「えっ?」
ドガァン!
暴発。『神の一撃』が残した熱波は、距離を置いていた最上らの艤装にも充分すぎるほど残っていた。弾薬を装填すれば誘爆する…彼らが逆上せず冷静であったなら容易に想定できたはずの現象である。
最上「そん…な…」
三隈「ここまで……だというの…?」
膝をつき、崩折れる2人。残る山城は、数秒前まで扶桑のいた水面を眺めながら、譫言を繰り返していた。
山城「姉様……姉様……姉様が……」
ギロリ背後に立ったランサーを、山城は悪鬼のような形相で睨み付けた。…否。其処にあったのは紛れもなき悪鬼そのものであった。
山城「
おのれ……おのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれよくも姉様をオオおおおおああああッッ!!」
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