魔女「長いお話でしたわね。そろそろ始めても?」
「構わない、存分にその力を振るってくれ」
狐「じゃ、とっとと終わらせましょうか。いつまでもこれの相手をしている暇はありませんからね」

不知火「言ってくれるじゃないですか…!」
不知火(不知火単独で突っ込んだのは失策でしたか。おそらくあちらもこちらと同程度の敵がいるはず。陽炎、無事でいて…!)

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重厚なドアを押し開け、部屋に飛び込み…思わず転んでしまった。

陽炎「つぅっ!」

蝉「ほう、ようやく来たかと思えば…たかだか羽虫が一匹か」

陽炎「いつつ……あなたがこの部屋の主ね?」

陽炎が部屋の最奥部にある玉座、そこに座る一人の女性に問いただす。

蝉「如何にも。我が名はセミラミス、アッシリアの女帝なり。さて、お主は何の権限があって我が『王の間』に土足で踏み込むのだ?」

陽炎「はぁ?権限なんて知らないわよ、私は此処に閉じ込められた仲間を返してもらうだけ」

蝉「ほう?わざわざこんなところまで探しに来たのか?ならば残念だが、ここにお主の仲間などおらんよ」

陽炎「ふーん、じゃあここは外れってわけね。まあいいわ、それならアンタを倒して不知火の手助けをするだけよ」

蝉「身の程知らずにも程がある。この地、この領域において我に比肩しうるものなどそうはおらんぞ?」

陽炎「なら私はその数少ないうちの一人になるってことよ!」

そう勇み、武器を構え距離を詰めるべく走り出そうとした。が、

陽炎「ぐっ、がはっ!?」

数歩歩いただけで倒れ、思わず急き込んだ口からは血の塊が吐き出される。
セミラミスの宝具『傲慢王の美酒(シクラ・ウシュム)』の効果はそう複雑なものではない。単に、『王の間』において、大気中にあらゆる毒を生成できる(・・・・・・・・・・・)というだけのもの。
陽炎は気が付いていなかった。この部屋は遅行性の猛毒ガスで充満していたのである。

陽炎「あっぐぅ……ゲホォ!ゴボッ!」

諦めずに立ち上がろうとするも、毒が全身に回りうまく立ち上がれない。それどころか痙攣をおこし始め、このままでは命に関わる状態であることは誰の目にも明らかだった。

蝉「どうした、先ほどの勢いはもう無くなったのか?安心するがいい、お主はそう簡単には死なさんよ。何しろ我は暇でな、お主の断末魔の声で無聊を慰めることとしよう」


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