狐「はいやっ!」
不知火「んうっ!?」
ナイフの一撃を掻い潜っての掌打が、不知火の鳩尾に突き刺さる。
魔「コリュキオン」
不知火「!?」
ドドドドッ!!
体をくの字に折った不知火を、光球の嵐が容赦なく追撃する。不知火の身体は枯れ葉のように飛ばされ、地下室の壁に叩きつけられた。
不知火「はあぐっ!?」
『不知火、聞こえるか』不知火「し、しれい……?」
壁に半ば埋まった状態で、不知火はなんとか意識を繋ぎ止める。
『この事態を打破する為の作戦だ。これは不知火にしかできないことだ』~~~~~~~~~~
(敵は宝具を一斉に使い始めた。これは、手元にある情報だけから考えれば有り得ないことだ。宝具の解放に必要な膨大な魔力。その一部だけでも賄おうとするならば、マスターには大変な負担がかかる。それを十騎以上に対して一度に実行するなど、なにか特別な魔術を行使でもしないかぎり不可能だ)
(しかし、不知火の目の前にいるマスターも、そのような素振りを見せていない。ならば、何か安定的に魔力を供給できる仕掛けを作り上げているはずだ。それも工房のどこかに)
(いずれにせよ、サーヴァントへの魔力供給は必ずマスターを通している筈。サーヴァントを無力化、最低でも宝具を使えなくさせるには――魔力の“源”と“経路”、少なくとも片方、できれば両方を破壊する)~~~~~~~~~~
不知火「つまり、マスターの殺害と“工房”の破壊、というわけですね」
確かに、これは工房内部までたどり着き、マスターと相対している不知火にしかできないことだ。
『分かってはいると思うが――』不知火「?」
『――絶対に生きて帰れ』不知火「……ご命令ならば」
不知火の目に新たな炎が宿ったのを見て、相対するキャスターのサーヴァント2騎も表情を切り替える。
狐「まだまだやる気、といったご様子ですわね?」
魔「その負けん気だけは評価してあげましょう」
壁の穴から身体を引き抜き、地面に降り立つ。
不知火「ふぅっ――!」
不知火(司令……申し訳ありませんが、その“頼み事”は、お聞きできないかもしれません――!)
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