扉の先で不知火を出迎えたのは、和風の衣装を纏い獣のような耳と尻尾を持った女と、まだ少年のように見える背格好の男だった。

不知火「青葉さんを、受け取りに来ました」

言いながら、肩掛けの主砲を手に取り少年の方に向ける。右肩の主砲は獣耳の女を向いている。少年が口を開くより早く、不知火が釘を刺す。

不知火「問答をする気はありません。貴方がたを排除して青葉さんを取り戻す。それ以外に興味はありません」
「…………」

出迎えの言葉を紡ごうとしていたらしき口が空を噛む。獣耳の女が1歩前に進み出る。

狐「お下がりくださいご主人様。この娘――獣ですわ」

その言葉を聞き、少年と不知火の2人は表情を僅かに変える。女の言葉には彼らに関する重要な情報が含まれていたからだ。

不知火「矢張り貴方がマスターでしたか……ならば!」

ドッ!!

全砲門を少年のほうに向けての一斉射。しかしそれは男の前に割り込んだ女と、宙に浮かぶ円形の“鏡”によって防がれた。

狐「おっと、自己紹介も済んでいませんのに……やっぱり獣は獣ですわね?」
不知火「どっちが獣ですか」
狐「きゃん♪噛み付かれてしまいましたわ……これはすこーし、きついお仕置きが必要ですわね!」
不知火「!!」

“鏡”が手も使わず不知火に向けてフリスビーのように回転しながら飛来する。かわし損ねた不知火の艤装を鏡が掠め、漏れ出した燃料が滴り落ちる。

不知火「っ……では、これならどうです!」

腰元に収納していた黒色のナイフ2本を取り出し、不知火は真っ直ぐに女に向けて突進した。


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