青葉「もう一丁!」
ドゴッ!!
20.3cm砲が火を噴き、斧を持った骸骨=竜牙兵が粉砕される。骨屑を踏み越えながら進む青葉は、扉までの道のりのちょうど半分を過ぎたところであった。
青葉「さあ、お次は誰です!?」
パキッ
青葉「『パキッ』?」
青葉が訝しげな声を出す。何故なら、その音は青葉が踏みつけている足下の骨ではなく、青葉の背後から聞こえてきたからだ。
パキパキッ…カタカタカタカタ……!
おそるおそる背後を振り向いた青葉が目にしたのは…
「WRRRRRRR!!」
先ほどまで地面にばら撒かれていた骨屑が組み上がり、竜牙兵たちが元通りに再生した姿だった。
青葉「ですよねー!どうせそうなるだろうとは思ってましたよ!!不知火ちゃん早く来てー!!」
~~~~~~~~~~
ゴゴゴゴゴゴ……
不知火の艤装から漏れ出した燃料に引火した炎は、既に地下室中を包みこんでいた。
不知火「ハァ……ハァ……」
狐「ふふん、このキャス狐に肉弾戦で勝てないようでは、まだまだではなくって?」
ブォン!!
魔術師とは思えぬ身のこなしで繰り出されるサマーソルトキックを身を反らせて紙一重でかわすと、そのまま不知火は後転し、逆立ちの体勢になる。着地したキャスターが追撃の姿勢に入るが…
狐「!?」
ドッ!!
可動アームに支えられた主砲が、逆立ちの不知火の背中からキャスターの顔面を狙い済ましていた。飛び退きつつ“鏡”で弾丸を弾くと、互いに1歩引いた位置で不知火と目が合った。
不知火「ハァ……ハァ……」
狐「随分息が上がっておいでですわね?そろそろ……」
不知火「そろそろ……ですか」
狐「……?」
期せずして言葉を返される形になったキャスターが怪訝な顔になる。その時。
「……!!」狐「ご主人様!?」
突如としてマスターの少年が目を見開き、地面に倒れ伏した。
不知火(今!!)
ドドドドッ!!
思わず振り向いたキャスターの隙を突いて不知火が狙ったのは、またしてもマスター。これまでに倍する密度の弾幕に、キャスターは身を挺して庇うことを余儀なくされる。
狐(この娘……いったい何を!)
不知火(この部屋は前後の扉以外に出入り口のない閉鎖空間……そんなところでこれだけ大量の燃料を燃やせば、当然酸素が不足する)
キャスターはサーヴァント故に呼吸を必要としない。不知火は肉体的には通常の人間と大差ないが、常日頃炎や爆発物を扱って戦闘をしている関係上、低酸素状態での活動にもある程度慣れている。即ち、この場でもっとも酸欠に弱いのは……
蝉「マスター!」
不知火「新手!?」
キャスターが庇う背中の先に、新たな人物が出現する。黒系の豪奢な衣装に身を包んだその女性は、朦朧としているマスターを抱きかかえた。
蝉「マスターのことは我に任せよ」
狐「……頼みますわ、アサシン」
不知火「待ちなさい!」
アサシンと呼ばれたその女性は、追撃を仕掛けようとする不知火の目の前でマスターごと闇の中に掻き消えた。それでもナイフを構えて突撃しようとする不知火を襲ったのは……
狐「呪相・密天」
ゴッ!!
突如巻き上がる竜巻。その威力は不知火の体を易々と持ち上げ、天井に叩き付けた。
狐「よくもご主人様を傷つけてくれましたわね……ここからは、
殺ル気で行きます」
怒り心頭という様子のキャスターであるが、体の各所から血を滲ませながら着地した不知火は、その言葉を聞いて鼻で笑った。
不知火「フン……此方は初めから『殺す気』ですよ。不知火らだけでなく司令まで巻き込んで……許せる道理などありません」
狐「ワタクシを……」
不知火「不知火を……」
「「――怒らせたわね…!!」」
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