蝉「マスター…」

マスターを抱きかかえたアサシン=セミラミスは、戦場の地下室を脱出し、マスターの私室に来ていた。階下からは、激しい戦闘の音が断続的に響いてくる。

蝉「むっ、キャスターめ、『鎮石』の魔力を自分で使い始めおったか……魔力供給が細っておる」

マスターの顔を一瞥する。魔術治癒は施した。呼吸も安定しているから、直ぐにでも目を覚ますだろう。だが、今戦局に混乱を与えるわけにはいかなかった。

蝉『皆の者、宝具の使用を控えよ!狂戦士は撤退だ……これ以上マスターに負担を与えるな』

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犬「宝具禁止か…お前ら、運が良かったな」
時雨「これを幸運というのならね…!」

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白「解放の代わりといっては何ですが、我が剣技の冴えをお見せしよう」
曙「やれるもんならやってみろ、この糞ナイト!」

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「■■ッ!?」

衣笠の頭上に斧剣を振り下ろそうとした巨人の動きが止まり、光に包まれて消えていく。

衣笠「……?」

一同は奇襲を警戒し、たっぷり1分経ったところで敵が本当に撤退したらしいことを悟った。全員が思わず安堵の息をつくも、直ぐに気を引き締め直した。敵はこの近くにもう1人いるのだ。

妙高「すぐに初春さん達のところへ!ジークフリートを止めなくては!」

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長門「ああっ!!」
湖「ARR!!」

ガッ!!

拳同士がぶつかり合う。何度目だか知れぬ応酬の最中、その変化は起こった。

湖「……」

先ほどまで猛然と長門に襲い掛かっていたバーサーカーが、両腕を下ろしその場に棒立ちになる。黒い宝剣がその手の中から消えていくと、バーサーカーの姿も元の通り黒い靄に包まれていった。

長門「……?」
湖「Ar……thur……」
長門「アーサー…?違う、私はかの王では…」

黒い靄はそのままバーサーカーの体を包み込み、闇に溶かしていく。

湖「わた……しは……」

そこまで言って、バーサーカーの姿は完全に掻き消えた。

長門「行った、か……」

見送った長門も、構えた両腕を下ろし、地面にへたり込む。

長門(アーサー王……私とあの王を重ねていたのか?)
長門「ふふ……光栄というべきかな?はは……だが、少し疲れた……な、陸奥よ……」

誰もいなくなった森の中で、戦艦長門は人知れず、仰向けに倒れてその目を閉じた。


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