青葉「けほっ…ごほっごほっ!」
何処をどう流されて来たかは分からないが、青葉は森の中らしい地上に流れ着いていた。傍には、同じく呼吸を整えている不知火と…
升黒「ううん……」
青葉「ったく、悪運が強いというか何というか…」
要救助者1名。
不知火「誰だか分かりませんが、今は非常時なので、申し訳ないですが置いていきます」
青葉「あっはい」
非情な選択にも、青葉は異論を挟まない。近くには川の流れも見える。未遠川の上流だろう。
不知火「川の上には敵影は見えません。海に出てしまえば後は振り向かずに逃げるだけ…行けますか?」
青葉「は、はい!大丈夫……」
ザッ!!
慌てて機関を確認すると、タービンを加速させながら川面に立つ。
青葉(燃料も少ないけど、真っ直ぐ帰るだけなら問題ないはず…)
ザザザザザ…
川幅が急激に広がり、視界の先に冬木大橋が見える。
青葉(…誰もいない……大丈夫……大丈夫…!)
ザザザザザ…
冬木大橋を潜る。立っている者の姿は見えない。きっとうまく足止めしてくれているのだろう。
青葉(もう少し進めば河口が見える…!海にさえ出れば…!!)
不知火「…!! 止まってッ!!」
ザッ!!!
青葉「あ……あ……!!」
——忘れていた。敵方には
彼女がいる。彼女を相手にして、足止めなど成立するはずがない。
不知火「くっ……やはり…!」
河口は目の前。しかし、これ以上前に進むことは不可能だ。
「残念だったなぁ……だが、制海権はコッチのもんだ」
河口を。海岸線を。空中を。何百、何千にも見える
帆船の群れが覆い尽くす。
「通りたければ力で押し通して見せよ」
黄金の鎧を纏った槍使いが水面へと降り立つ。
「尤も、それが可能なら、ですが」
純白の翼を持った馬に跨った美女が、宣言した。
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