伊19に先導された青葉とルーラーは、深山町に幾つか存在する古めかしい民家の1つに辿り着いていた。これまた仰々しい標札には「藤村」とある。逡巡する2人をよそに、伊19は堂々と門を開けて中へ踏み込んでいった。
伊19「んー?まるゆはまだ来てないのね?」
キョロキョロと辺りを見回す伊19に、痺れを切らしたように青葉が問いかけた。
青葉「あの、ここは…?」
伊19「…ん?ここが鎮守府なのね」
青葉「はい?」
状況が飲み込めず、目をパチクリさせる青葉。ルーラーは胡乱げな目で伊19を見ている。
ジ「巫山戯ているのですか?」
伊19「巫山戯てなんかないのね。そろそろ…」
「うわあああああ…!」
門の外から、少女の悲鳴と思しき声が近付いてくる。声の主は門へ飛び込み、
まるゆ「きゃん!」
コケた。その拍子に、ぽん、と音がして、少女の持っていた円筒状の物体——運貨筒が弾け、中から無数の小動物が蜘蛛の子を散らすように駆け出してきた。
ジ「妖精?」
小動物の正体はジャンヌも知っている。艦娘が装備などを操るために使役する『妖精』だ。妖精達はまるゆの元から駆け出すと、家屋のひとつ、藤村邸の離れへと群れをなして飛び込んでいった。
まるゆ「えへへ…まるゆ、お荷物届けました!」
「と言うことは、作戦成功ですね」
門の外から、もう1つの声が入ってくる。
青葉「不知火ちゃん!」
不知火「お帰りなさい、青葉さん」
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