(出された右手を握り返しつつ)

おう、アタシもなかなか楽しかったぜ だが…

(じっと不知火を見据えて)

アンタは攻撃が正直すぎる 今はまだそれでもいいかもしれん
しかし、このままだとアンタはいつか必ず倒される

絶対に沈まないんだろ?だから、相手の思考の外に出ろ 相手の想像もつかない方法を使え
その為に必要ならば味方でもなんでも使え 殺し合いに卑怯も糞もない、最後まで立っていた奴が勝ちなんだ

ま、最後のはなかなか驚いたが… どうせならアタシの船を自分の指揮下に置く、ぐらいのことはやって見せろ

ア「しかし、いくら弱体化していたとはいえサーヴァント相手にこれだけ頑張ったんだ、もっと誇ってもいいと思う」

ア「何で弱体化していたのかって?今回のこと自体がこちらとしても想定外だったからな、罰としてのペナルティだ。もっとも、マスターにはほかの目的もあったみたいだが…」

さて、マスターもカンカンだし、そろそろ帰るかねぇ

―――ともあれ、良い航海を。

次があるのなら、せめて今のアタシよりは強くなっていてくれよ?
アタシは生前も死んでからも、自分より強い相手とばかり戦っていたからねぇ
自分より弱い相手と戦うのは、どうも、尻の座りが悪くていけない…

(その声を残して世界で初めて“生きて”世界周航を達成した奇跡の海賊、人類の歴史のターニングポイントになった偉大なる『星の開拓者』は二人のサーヴァント共に姿を消した)


な、何ですか弱い弱いって!不知火に落ち度でも!?

----貴女も、良い航海を。

陽炎「……行った?」

ええ…

霞「フン!気に入らない奴らだけど、まあ言ってることは一理あるわね。何時も何時もアンタは行動が正直過ぎるのよ!今回だって、挑発されたからってアッサリ乗せられて…危なっかしいったらありゃしない!」

霰「もっと…頼ってほしい、かな」

…そうね、そうだったわね…ごめんなさい、みんな。

陽炎「でもさ、久々の“ホネのある敵”だったんじゃない?」

…ええ、そうね。

霰「楽しかった?」

ええ…とても!

天龍「じゃあ楽しんだ分、バッチリ働いて貰わなきゃな!まずはこの演習場の大掃除だ!」

霞「ちょっと天龍!?何いきなり出て来てアタシのセリフ取ってんのよ!?」

天龍「るっせえ!ったくよお、あんな強そうな相手ならオレだって戦いたかったぜ!今度ヤるときは絶対呼べよな!?」

陽炎「ここにも戦闘バカがいた…」

霰「くすっ…」

霞「ふふ、それじゃ、帰るわよ!」

ええ!

陽炎「あ、朝日…」



(かくして鎮守府初の“艦娘 対 サーヴァント”の対決は幕を閉じた。後日、ライダーが本来の十分の一まで弱体化していたと説明された不知火が「再戦させろ」と暴れ出すのだが、これはまた別の話)


おわり
_vs_riderEXTRA_11