…醜い。
(1隻も動かなかった。まるで、不知火の気迫に気圧されているかのように)
…醜い、汚らわしい小舟ども。あの、潜水艦の体を為さない棺桶と同じ…何も浮かべず…何も運ばず…虚しくその身を散らすだけの存在…
お前たちは、それでも船か…!
霰はッ…沈みながらも最期まで戦った…!陽炎は、何度謗りを受けようと、その誇りを失わなかったッ!霞は!最後の時まで故郷の為に戦い、胸を張って沈んだ!!
お前たちは…不知火1隻すら沈められず、無惨に弾け飛ぶのみ…
貴女たちは…弱い。
ザッ!…ドウッ!!(1隻の火船が不知火に突撃し、砲撃を受けて爆発した。それは、使命を思い出した兵士の動きではなく、不知火の言葉に逆上し、我を忘れた者のそれであった)
…つまらないわ。
(ライダーが号令を発すると、動きを止めていた火船も、次々と不知火へ向けて突撃していった。しかし、1隻の火船も、1発の砲弾も不知火を捉えることができなかった。ライダーが何隻の船、何門の砲を召喚しても、結果は同様だった。皆、不知火の気迫に怯え、恐慌し、錯乱していた)
…弱いのね。
(不知火はもはやライダーを見ていなかった。目の前の哀れな小舟たちを、砲で、魚雷で、拳で、身体で制していくだけ。それは、まさに小舟をものともしない大戦艦の佇まいであった)
…沈め。
“ヒイッ!”
ライダー「!?」“嫌だァ” “死にたくネェよぉ” “恨めしい…” “助けて” “万歳ィイイイイイ” “…沈め” “船長ぉおぉ” “怖いよぉ” “呪ってやる” “沈め” “お前も…” “…沈め” “母さん” “沈め” “沈め” “死ね” “沈め” “沈め” “沈め” “沈め” “沈め” “沈め” “沈め” “沈め” “沈め” “沈め” “沈め” “沈め” “沈め” “沈め” “沈め” “沈め” “沈め”
----沈め。(“2033トンの大戦艦”の拳が、サー・フランシス・ドレイクの顔面を捉えていた)
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