(三回目……部屋においでと誘われたあの日以来…頭がふわふわと揺れるような感覚に溺れていた
友人曰わくこれで馴染みとなり今までの茶屋ではなく遊男の部屋で会えるようになるそうだ
…赤い痕のつけられた首筋……打掛で隠された身体……あの声は何を囁き…手の甲をなぞってきたあのごつごつとした指先はどう動くのか……考えるだけでも背筋がぞくりと震える

…しかし脳裏に浮かぶのは友人の忠告の数々だ

口説とは言葉巧みに客をその気にさせるものだそうで遊郭で働く遊女や遊男は皆するのが当然のようなものだそうだ
話を聞く限りあの遊男は長い事この花街に居るようだが……何時から居るのだろう
好きな花は?あの香の意味は?顔合わせの後…何故会ってくれたのか…考えれば考える程にため息ばかり出ては…胸を締め付けた)





(手に抱えたのは外に生えていた花…あの人は喜ぶだろうか…
茶屋の椅子に座って待っていると案内人がやってきた
…どうやら遊男の部屋に行く前に湯屋で汗を流さなければいけないそうで向かう事にした
ぼんぼりの淡きひかりに照らされて