(それはある日の事だった
何時も通りふらふらとある男の書斎に潜り込んでは餌を貰いごろごろした帰り、桜の木が視界に映り込んできた
猫はこの桜、時折人の声がするのだとぼんやりと考えてはゆっくりと歩いては自身の寝床に向かおうとする、それが何時もの事だった
しかし何故だろうか猫は不思議そうに首を傾げる
何時も以上に…桜の木からなにかの気配がしたのだ
あの男とよく似てはいるがどこか違う、そんな気配に猫はゆっくりと近付いていく
―なにかが居る
人とは違うなにかの匂いがする
花のようでお香のような…しかしどこか戦を纏ったその匂いは……あまりにこの世とはかけ離れ過ぎていた)
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にゃーん