(頭の中で木霊する…忘れられもしないあの声に脳をくらりと揺らしては花街の入り口にある大門を見た
思い浮かぶのは白檀の柔らかな香りと赤い痕のついた首筋……今日も会えるだろうかと期待と緊張で膨らむ胸は跳ねる心臓を覆い隠している


……隣を歩く友人が言うには二回目は裏を返すというらしく、先日同様に引手茶屋で宴の用意をして待つらしい
ただ…今回は話しができ…酒も飲んで貰えるとの事だ
あの人は飲んだらどうなるだろうか…あの穏やかな表情が崩れてしまうのだろうか…脳裏に浮かぶのはあの遊男の事ばかりだ…
消えぬ白檀、忘れられぬ声音