「いらっしゃい」


(へらりと笑う店主をよそに店の中を練り歩く、どれもこれも怪しい物ばかり……友人に連れられ来たものの…なかなかに厳しいものがある
友人は張形を手にしてはこれぐらいの大きさだったと告げてくるが何がしたいんだこいつ)




(じと目で見てやると友人が笑うのを止めては此方を見てきた)



『…でさ、不審者とかの話だって?
…刀持ってる連中はまぁ…幕府のお偉い方でも探してるとは思うけど…不審者の方はあんまわかんないや』


(友人でもわからないとは何事かと思っていると肩を叩かれた
ばっと振り向くとへらりと笑った店主が此方を見ている)



『お嬢さん方、花街の事を話してやがんのかい』


(その言葉に頷くと店主はやっぱりだと笑うとかこん、と下駄を鳴らした)



『おいらが聞いた話なんですがね、どうやらその不審者とやら物ではなく人を探しているそうですぜ
いやぁ、花街で人探しなんざ何を考えているのやら』


(おっかない話だねえなんてへらへらと笑う店主にもっと話を聞こうと口を開いたが…他の客に呼ばれ店主は奥の方へと歩いていってしまった
…物ではなく人を探している、どうにも引っ掛かる……花街で人探しなぞしても見つかるはずもないのに……)









































重ねた花、散らばる赤