(それは穏やかな通話時間だった
言葉の奥に込められた気持ちは心地良く、二人の距離が縮まっているのだとじんわりと胸の内が埋まっていったが…アルコールとくるまった毛布の暖かさに思わず目を閉じてしまいそうになる
しかしまだ寝ていられない
時計の針は思いのほか進んでおらず、画面の向こうには頬杖をつき微笑む愛しい人…寝ていられるわけがない)
眠いのなら後日にするか?
(首を横に振って閉じてしまいそうな目蓋を開く
決して忘れているわけじゃないが…何となく話すよりも聞いてみたくなった)
フフ
その顔は聞くまで寝ないってヤツだよな
…よし……なら話を続けるぜ
(優しい声、柔らかな眼差し…画面じゃなく本物だったらと考えながら気付かれないようスマホの背面を指でなぞる。)
仕事が終わり帰ろうとした時にオマエから電話がきて…直接迎えに行ったんだよな
(キバナは二人の思い出を楽しそうに語りはじめた
重たくなりはじめていた目元を開かせるために目を強く瞑る。
まぶたの
裏には……)