(静かな夜だった。
あの日聞こえた柔らかな声はなく、静寂に包まれた部屋の中キバナは本を閉じる。
彼女と別れてどれぐらい宝物庫に居ただろう?
天窓から差し込む月明かりは薄ぼんやりとしていて心地よいが、以前の温もりはない。)

(寂しいという気持ちではなく、記憶に香のように深くしみこんだ甘い気持ちにキバナは浸っていた。
唇からは笑みがこぼれ、大きな手で覆う)
「思い出し笑いロト?」ああ、この間ロトムに休んでもらった日があったろ?
…すげぇ幸せな時間だったと思ってな
(スマホロトムはぱちぱちと瞬きをしていたが ぴゅん、とポケットから飛び出るとキバナの周囲を飛び回る)
「オマエと一緒ロト?ロトムも一緒がいいロト~!」(ぷんとわざとらしく音を鳴らすスマホロトム
最初は楽しげに笑っていたキバナだったが…)

…よし、わかった
次はオマエに会いにいこうぜ
「充電なくなってロトム腹ペコになるロト!」フフフ!そう拗ねてくれるな!
外じゃなくお互いの家で会うんだ
腹ペコになる事もないだろ?