(数回のコールの後、「もしもし」とあいつの声が聞こえた。)
俺だ、ロヴィーノ。
(そう答えると少し声色が明るくなった…ような気がした…。俺の自惚れかもしれねーけど。)
「どうしたの?」
あぁ、いや…大したことじゃねーんだけど…
お前…クリスマスの予定あんのかなって思って…。
(あぁ、聞いちまったぞコノヤロー!そんなことを思いながら答えを待つ。)
「え、あぁ、クリスマスか…特に何もないよ。」
えっ…?
「え…?」
あ、いや、なんか日本じゃその…、恋人とかと過ごす日になってるらしいから…
お前もてっきり…
(そこまで言うと、〇〇が「そんな人いないよ」と、くすくすと電話の向こうで笑っていた。)
な、何だよ…。
「ううん、でも私に彼氏がいると思ってたんだ?」
いや、別に彼氏がいるっつーか…そうじゃなくても誰かしらと遊びに行くと思ってたから
なんつーか…
(本当はいたらどうしようかと思ってた…なんてことは言わねーけどな。)
「ロヴィーノは?」
あぁ、そうだ。今年は俺んちでパーティー…つってもそんなに人数いねーけど
集まって飲もうって話してるからお前もどうかと思ってよ。
「え、行っていいの?」
あぁ、そのつもりで電話した。
「うーん…」
(しばらく悩んでたようだが、「じゃあお言葉に甘えて…」と、なんとも日本人らしい控えめな承諾を得て俺は電話を切った。)
(電話を切ってふと思い出す。そういえばあいつとクリスマス迎えるのはこれが初めてだ。)
(窓の外はクリスマス前の買い出しでにぎわう街、目を落とせば山のような仕事の書類…。)
……。
(考えるより先に、俺は上着を手に街へと飛び出した。)
クリスマスのお誘いをする話2