(コートを羽織り、ロヴィーノに続き外に出た。)
(吐く息が白く視界を煙らせる。すごく寒い。)
あー…やっぱり夜は寒ぃな…。
大丈夫か?
(そう言って振り向くロヴィーノの手には、何故かもう一枚コートが持たれていた。)
こっちだ。ほら、行こうぜ。
(そう言って家のすぐ横の細い坂道を登り出す。)
「あ…。」
(妙に明るいな、と思って上を見上げる。)
(細い路地の家々の間には細かい電球のイルミネーションが飾られていた。)
毎年色んな形のイルミネーションがこういう路地にも飾られんだよ。
あれはサッカー選手だろ、サッカーボールと…あれは何とかって芸能人の顔だった気がする…
んであれは…
(ロヴィーノが指さしながら楽しそうにイルミネーションの説明をしてくれた。)
(当たり前だが街は閑散としていて誰もいない。小さな電球だけれど、この静けさが一層イルミネーションの光を際立たせているような気がした。)
今日はどうだった?
(坂をのぼりながらふとロヴィーノが口を開く。楽しかったよと答えると、「そうか。」と短く返ってきた。)
「どうして?」
いや…、お前気ィ遣ぃだろ?俺にも未だに気遣ってくるくれーだから
あのメンバーの中で疲れたんじゃねーかと思ってよ。
(確かにみんな自由で戸惑うこともあったが、とても楽しかった。というよりも正直、そんなことをロヴィーノが気にしてくれていたことに驚いた。)
「そんなことないよ、楽しかった。」
…ま、ならいいけどよ…。
(そんな話をしながら暫く坂をのぼって行くと、小さな広場のような所に出た。小さなベンチや噴水があって、可愛らしい場所だ。)
お、着いた。
あそこの奥の階段、のぼるぞ。
(そう言って広場の奥、また更に坂へと続く道の階段を数段一緒にのぼる。ロヴィーノはそこで足を止めた。)
(散歩というから宛もなくふらふらするのかと思っていたけど、どうやら目的地があったようだ。)
振り向いてみろよ。
(言われるまま振り向く)