(不思議に思いながらも手を洗っていると、突然後ろから両肩を掴まれた)
(そのまま何者かに引き寄せられ抱え込まれ、半ば強引に壁際へ追いつめられる)
(額が壁につき、続いて胴体も何者かの体によって抑えつけられた)
(見なくても男だと分かる体躯が貴女の後背にぴったりとくっついている)
……●●、俺じゃ。
(その声に振り返ろうとするも、寄せられた頬が貴女の頬を押し返した)
(「安心せい」とそう告げた声の位置がスルスルと下がっていく)
(その顔が首に押し付けられると、ストール越しだというのに湿った息が掛かるのを感じた)
………
……晒、お前か。
(先程ミルズが上に倒れてきた時と同じ感覚に肝が冷えた)
…前に木陰から俺を呼んだのもお前じゃな。
(これは確実にバレている)
常んこつを思えば、そや俺や信や与一を名前で呼ぶだろうの。
体が女じゃっで、素行が女んごたるのも己を童貞じゃち言うのも道理じゃ。
……おかまが何がしたな。
(お豊が更に体を寄せてくる)
(いよいよ身じろぎひとつできなくなった)
……○○?
(唇が耳元に寄せられた)
ないごてこげん格好ばしちょる
。