(ふっと笑みがこぼれた)


顔に出ちょったか。


関ヶ原ん時は大坂から佐土原に戻る前に惟新斎殿に従うたからの。
結局故郷の土は長く踏まんかった。
知らずの内に里心でんついちょったかもしれん。



………こげな話、おなごの身でひとりこっちに飛ばされて来たお前にするもんではなかったか。

俺よか、お前の方がよっぽど郷里が恋しいだろ。
気が回らんかったのう。

故郷のことを嬉しそうに語る豊久が好き