(嬉しもん!と言いながら机の下をゴソゴソしている)


お豊「こいじゃ!」(ドォン


信「…ン!?こいつは…」

与一「……樽?」

おるみぬ「これは…多分、お酒じゃないでしょうか」


(机の上に置かれたのは、またしてもどこかで見た覚えのある樽だった)


お豊「そん通り、酒じゃ。みるずは何ち言うちょったかのう。名前は忘れてしもたが、うまか酒じゃった」

信「これ『ミード』じゃねェか!」

お豊「そげな名前じゃったかもしれんのう。あや、まっこて美味かった!じゃっで『○○』にも飲ませてやろうと思うての」

信「お、俺の分は!?俺、あの時ほとんど飲んでねェぞ!?」

お豊「ね」

信「無いってこたァねェだろ!一杯くらい…」

お豊「信はさっきおるみぬに言うた。『今日は○○へのお返し』じゃと」

信「ぐ、……ッ、………ああ、ええわい、ええわい!酒くらい…酒くらいッ……」

オカマ「諦めなさいな。イイ男の引き際ってのは潔いモノよ」

与一「元気出して、お酒ならまた買えば良いじゃない」

おるみぬ「そうですよ、ミードならあと数ヶ月で醸造の最盛期だと思いますし!」

信「……醸造?
醸造か。いっそ自分で作るってのもアリだな。廃城で養蜂できねェか童貞に打診してみるか…?」

おるみぬ「え゛ッ、今以上にあっちの仕事増やす気ですか!?」

信「やれん時のこたァやれん時に考えれば良い。補填要員の童貞ならたくさん居るぞい!」

与一「うわぁ、えげつない」

信「与えてもらえねェもんは自分の手で作る!!これ基本だろうが!」


(信長がいつにない柔和な笑顔で立ち上がった)







信「よーしよし、こういうのは初手が肝心だからな!早速、童貞に一筆したためるか!
○○!!じいじのぶんも味わって飲むんだぞ!!じゃあな!」


オカマ「……落ち着きの無い五十路ねェ」

おるみぬ「……いいんですか、放っておいて…」

与一「信も信で鉄砲玉だからなぁ…」

お豊「何の。酒が増えるのは良かこっじゃ。みるずも『でけん』ち思うたら、そげん言うだろ」


(…という訳で、お豊から蜂蜜酒を樽ごと貰い、信は蜂蜜酒醸造の打診のため広間を後にした)

17wd05