話は後じゃ。
ないがなし早う来い。
(急いだ様子のお豊は、ランタンを左手で拾ってから右手で貴女の手を引く)
行くど。
(そう言ってすぐに歩き出した)
(通りを曲がり、塀を乗り越え、階段を上ってお豊はずんずん歩みを進めていく)
(やがて辿り着いたのは、周囲の土地よりも少し高いヴェルリナの外れにある丘陵だった)
よか、まだ雲ば出きっとらん。
近道使うて良かったわ。
(お豊のペースに合わせて上がった息を整えていると、ポンポンと肩を叩かれた)
(振り向くと、お豊が空を指差している)
○○、見てみい。
(示された方向を見上げるとそこにあったのは、)
(
月だった)