ぬえ「……にしし」
笑った。
静かに、だけど、いつもみたいに元気なトーンで。
ぬえ「残酷なこと、言うんだね。 今更どうしようも無いのに」
○○「けど、やっぱりこのまま放っては置けない」
本心だ。
こんな事になるとは思ってもみなかったけど。
それでも、よく話していたし。
友人と言って間違いない。
ぬえ「でも、私のところに来てくれるわけじゃないでしょ?」
けど、ぬえはそんなことを求めていない。
さらに先を。 欲していた。
ぬえ「…今、キスしてって言ったらできる? できないよね? だから、そうなんだよ。 私のことは良いから、君はナズのところに行って」
………。
それは、そうだ。
それは、裏切り行為だ。
それにそんなことをしたら。
むしろ、苦しめる結果になる。
○○「……俺は…」
ぬえ「だからもう、気にしないで。 霊夢にはこれ以上迷惑かけない。 すぐに出て行くし、ちゃんとお寺にも戻るから」
○○「けど…」
それで、良いのか。
○○「けど、やっぱり、無理だ。 どうすればいいか分かんないけど、でも…」
でも…。
無理だ。無理。
無理としか、言えないけど。
○○「ぬえも大切な友人だから」
悲しませちゃ。駄目だ。
ぬえ「……だって、それじゃナズと、○○の邪魔したみたいになっちゃうじゃんか…」
つーっと、涙。
それがぬえの頬を伝って、落ちた。
ぬえ「数少ない友達なのに、裏切ったりなんか、出来ないよっ…!! うぅ・・・うわぁぁああ!!」
再び、俺に抱きつく。
それを優しく、抱きしめる。
○○「邪魔、していいよ」
ぬえ「ぐす…え?」
嗚呼。
これほどまで自分が汚い奴だと思ったことは無い。
けど、それでも。
○○「今までだって、そうだった。 ずっと妨害してきたじゃんか。 そのときは良く分からなかったけど、けど。今ならよく分かるから」
こんな事を言うのは、自分らしくない。
分かってる。そんなこと。
○○「だから、さ。 そんなにすぐに諦めるの、お前っぽくない。 毎週毎週「覚えてろー」ってやられていく敵役みたいに。何回だって来いよ。 色仕掛けでも、なんでも。 俺だって男だぜ? もしかしたらそれで揺れ動くかも知れないじゃんか」
こんな事言うのは、最低だ。
よく分かる。 だけど。
今のぬえなら、理解してくれるはず。
諦めて一人で泣かせるくらいだったら。 俺が汚れたほうがいい。
ずっとずっと、いいから。
ぬえ「…ばっかみたい。 二人の女の子に取り合いされたいの?」
○○「おい、それ男子諸君の夢だぞ?」
ぬえ「そう……えへ、えへへ」
笑った。
ぬえ「…うん。 悪くない。 そうだね。今さら何言ってたんだろう」
ナズには、とってもわるいことしたかな。
でも、でもだ。
ぬえ「ねぇ、じゃあこれからはもっとアプローチを強くしていいよね?」
もしかしたら、ちょっとの差でこっちを選んでいたかも知れないんだ。
○○「お好きなように。 ちょっとやそっとじゃ揺らぎませんがね」
許されなくても、自分がしたいようにやってやる。
>>>
名前:ナズーリン
集めた宝物52
あ、宝の反応だ!
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