気が付けば暗がりの空間の中で、いつか見た天井が視界の中に収められていた。
懐かしいような、そうでもないような……そんな自分の部屋の。
頭がボーッとしてる。
まるで寝起きのようにはっきりとしないソレが思考回路を鈍らせていて、現状の理解を遅らせる。
「……………」
背に触れているベッドシーツの優しい質感、毛布の確かな暖かさと柔らかさ。
ああ、自分はベッドの上で寝転がっているのか。
「……………」
起き上がり、カーペットの敷かれた床に足を下ろす。同様にそれもまた暖かく、まるでお帰りなさいと主人の帰りを待っていたかのよう。
散らかっている部屋や若干の汗の香りは『あの儀式』を行う前と同じだ。
───帰ってきた?
「……………!」
充電器に接続されている携帯電話へと手を伸ばす。そういえば、寝る前にはいつもコンセントに繋いでいたっけ。
震える手で日付と時刻を確認する。
「……………」
日付、時刻───間違いない。
「……………」
同じだ。
「……………!」
儀式を実行した次の日付、0時過ぎの時刻。
全てが一致するんだ。
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