もう0時を過ぎている。光を宿している店は少ない。


早栗「……………」


家を出る際、誰も起きてはいなかった。いや───正確には起こさないように出たと言うべきか。
お父さんもお母さんも妹も……特にお母さんにとっては、アレを見てしまっているから。


早栗「早く……」


こんな時間にも関わらず、更には自分から呼び出しておいて身勝手だとは思う。でも、早く会いたいんだ。
ポツリと呟いた言葉は誰に聞こえるわけでもなく、虚空へと消えていく。


早栗「早く……」


周囲に化け物が居ないかと今も挙動不審な態度をしている私は、酷く滑稽だと思う。他人から見れば、怪しい人に見えるかもしれないね。


早栗「早く……!」


「おまたせー」


早栗「…………!」


来た!


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★早栗と脱出する3